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イグアスが「ソリューションポータル」スタート ~ISV・メーカーとベンダーの架け橋を目指す

イグアスが「バーチャル展示会」と銘打つ「ソリューションポータル」を開設した。
製品・ソリューションに関する情報を、デモ動画、製品情報、資料提供などの多様な切り口で提供し
商材と顧客を求めるベンダーと自社製品・ソリューションの販売先を探す
ISV・メーカーの「架け橋」となるサイトを目指す。
将来は、同サイトと連動する「リアル展示会」も構想している。

 

 

「顧客が見つけにくくなった」
という声に呼応して  

 最近、「顧客を見つけにくくなった」という声をさまざまなITベンダー*やISV・メーカーから聞くようになった。また、ITベンダーからは「顧客へ販売する製品が少なくなった」「最適な製品・技術をもつISV・メーカーが見当たらない」という声もしばしば耳にする。そうした声は以前からあったが、より頻繁に、より多くのベンダーから聞かされる、という印象である。さらにエンドユーザーからは、「求めるソリューションがなかなか見つからない」「企画・開発のパートナーになってくれるITベンダーが見当たらない」といった声も聞く。

 これらのことは、クラウド化の普及によって商材が減少した(とくにハードウェア関連製品において。旧来のベンダーから見て)とか、デジタル化によるビジネス革新(デジタル・トランスフォーメーション)に対応する要件をITベンダー・ISV・メーカーともに明確に描き切れていないから、などに背景や要因を探ることができそうだが、事実として、ベンダーとISV・メーカーとのマッチングが効率よく行われていない事態が進行しつつあるようだ。

「当社にとってビジネスパートナーであるベンダーは新規の顧客を開拓し、既存のお客様に対しては新しい製品・ソリューションを提案したいと考えていますが、旧来の手法ではお客様の琴線に触れる提案がなかなか行えず、売り方に非常に苦労されています。さらに、求める製品・技術をもつISVやメーカーをどのように探り当てたらよいのかわからない、とも言います。一方当社は、ビジネスパートナーからさまざまなお問い合わせを受け、いろいろな製品・技術・ソリューションを紹介していますが、当社が揃えている製品・ソリューションだけではすべてのビジネスパートナーのニーズにお応えできていないという思いを、この1~2年強くしています」と、イグアスの森照寿氏(クラウド&ソリューション事業部ソリューション営業部)は話す。

 イグアスは、IBM市場では最大の売上規模を誇るVAD(付加価値ディストリビュータ)で、扱い製品の範囲は、IBM・他メーカー・サードベンダーのハードウェア、ソフトウェア、ストレージ、ネットワーク、周辺機器、サービス、クラウドなど多方面に及び、製品・ソリューションの数は数千点にも上る。その同社をして、「足りない」という状況が進行しているのである。

 

ベンダー同士の繋がりや
出会いのきっかけを作る 

 そこで、同社が9月3日にスタートさせたのが「ソリューションポータル」である(図表1)。同サイトについて、イグアス クラウド&ソリューション事業部の安倍正人氏(ソリューション営業部 部長)は、次のように狙いを説明する。 

 

「地方のITベンダーを訪ねると、東京ではよく知られている製品・ソリューションがほとんど知られていないという状況に出くわすことがよくあります。また、多くのビジネスパートナーの課題として、よいソリューションをもちながら自社のお客様にしか提供できていないために宝の持ち腐れになってる、ということがあります。ならば、全国に広く宣伝できていない製品・ソリューションや、当社が“これぞ”と思うISVやメーカーの製品・ソリューションを、かゆいところに手が届く情報とともにご紹介することによって、ビジネスパートナー同士の横の繋がりや、ビジネスパートナーとISV・メーカーとの出会いを生むきっかけにしたい、というのがソリューションポータルの原点です。それによって、エンドユーザーが求める課題解決のご支援に役立ててもらう狙いです。VADである当社に、今求められている付加価値の1つとして、総力を挙げて推進しています」

 ソリューションポータルは「バーチャルソリューション展示会」と銘打っている。リアルな展示会の展示ゾーンの構成のように、サイト上もテーマごとにゾーンを設け、製品・ソリューションを紹介している。

 オープン時は、

・Aゾーン:おすすめソリューション
・Bゾーン:IBM iソリューション
・Cゾーン:業務自動化・作業効率化(RPA/OCR)
・Dゾーン:ワークスタイル変革(働き方改革)

の4つのゾーンを設けた(今後、「パートナーソリューション」ゾーンを追加予定)。「ゾーンは、その時期に合ったテーマを選択し、随時変更していきます。ビジネスパートナーやISV・メーカー、エンドユーザーがご覧になると、その時どきのホットなテーマと製品が一望できることを狙っています」と、森氏は語る。

 トップページのゾーン下に並べられた製品名をクリックすると、製品の詳細ページが表示される。

 「Cゾーン:業務自動化・作業効率化(RPA/OCR)」のなかの「Anyform OCR」をクリックしてページを開くと、「OCR帳票設計」というビデオが目に飛び込んでくる。

「製品紹介ページの構成は、1ページで全容を掴んでいただけるように、ビデオ、概要、特徴、構成イメージ、動作環境、資料ダウンロード、のコーナーを設け、簡潔でわかりやすい表現と、シンプルで見やすいデザインに留意しました。今後、Webセミナー(Webinar)のコーナーを追加していく計画です」(森氏)

 イグアスでは現在、ビジネスパートナー向けの業務支援サイト「Partner Value Network(PVN)」、製品に特化した専門サイト、そしてコーポレートサイトの3種類のWebサイトを運営している。専門サイトには、IBM i技術情報「iCafe」、クラウド監視システム「Eagle Eye」、Zend PHP、3Dプリンター、使用済みバッテリー買取サービス「MOTTA」などがある。「ソリューションポータルは、既存の3種類のサイトの中核に位置するサイトです」と、安倍氏(図表2)

 

 

 現在、ソリューションポータルに掲載されているのは、32製品。安倍氏は「早急に100製品まで増やし、将来的には国内最大のソリューションポータルにする構想です」と抱負を述べる。また、この「バーチャル展示会」と対になる「リアルな展示会」も検討中という。今後の展開が期待されるサイトである。

「ソリューションポータル」サイトはこちらをクリック

[IS magazine No.21(2018年9月)掲載]