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事例|株式会社ジャストオートリーシング ~徹底した内製主義で、自社の強みをシステムに活かす

RPGメインで
自社開発体制を確立

i Magazine(以下、i Mag) 最初にIBM iを導入した時期とシステム部門の体制を教えてください。

中野 1987年にAS/400でRPGにより販売管理および会計システムを開発し、改修を重ねながら今も利用しています。システム部門に相当する営業企画部は7名体制です。企画や設計を担当する営業企画課に2名、開発・運用を担うシステム課に3名が在籍します。それに部長である私、営業企画課とシステム課の課長を兼任する岸下を合わせて合計7名ですね。そのうち6名がRPGによる開発が可能で、残る1名はインフラ系の運用管理を担当しています。

 当社はRPGメインの社内開発体制を確立しています。一部にRPGⅣを利用していますが、ほとんどはⅢですね。スタッフは新入社員として配属、もしくは中途採用、あるいは他の部門を経験後に配属されたケースとさまざまですが、以前にIT経験がない点では共通しています。だからRPG開発者を社内で一から育てている点が特徴であり、強みでもあると考えています。

中野敦夫氏
業務部 営業企画部 部長

i Mag 教育はどのように実施しているのですか。

岸下 まずEOLやIBMユーザー研究会のeラーニングで基礎を学習し、すぐにCOPY句を使ってはめ込むような簡単なプログラム修正に入ります。近い年代のコーチ役を付けて、帳票など影響範囲が少ない修正から始め、手取り足取り教えていきます。センスや能力にもよりますが、早くて3カ月から半年、遅くても1年ほど学習すれば、立派な戦力として役立つようになりますね。

岸下 和幸氏
営業企画部 営業企画課 兼 システム課 課長

i Mag  RPG以外の開発言語を利用した経験はありますか。

中野 15年ほど前、Webによるリース自動車情報提供サービスである「J-line」を初めて開発する際、Javaで外注したのですが、バージョンアップが煩雑で、自社でのメンテナンスも困難であったため利用を中止し、Javaに代わるツールとして「JACi400」(ミガロ.)を採用しました。これはRPGベースでWebアプリケーションを開発するツールで、当社の開発スキルにとてもよくマッチしています。J-lineについては初期開発を外注し、以降の改修・修正はすべて社内で行っています。

岸下 JACi400はその後、モバイルオプションを統合して、新たに「SmartPad4i」(以下、SP4i)としてリリースされましたが、こちらもRPGベースのモバイルアプリ開発ツールとして活用しています。営業担当者を中心にスマートデバイスの利用が拡大しているので、それに対応する自社開発ツールとしてSP4iの利用頻度もどんどん高まっています。ほかには、J-lineでExcelファイルを連携させるのに「Delphi/400」(ミガロ.)も利用していますが、こちらはスキルセットがRPGと異なるせいか、それほど広がらず、部分的な活用にとどまっています。

開発力あってこそ
自社の強みをシステムに反映できる

i Mag IBM iを今後使い続けていくうえで、なにか不安材料はありますか。

中野 一般的に言えば、IBM iを使い続けるうえでの不安材料は大きく2つあると思います。1つはRPG開発者の不足、もう1つは「レガシー」という言葉に体現される古くさいイメージです。前者の問題は、先ほどお話ししたように、当社では一から開発者を育成しているので、まったく不安は感じていません。後者の問題については多分に、5250画面のイメージに起因すると考えています。つまり画面の見栄えを今風に変えれば、バックグラウンドでどんなシステムが稼働していても、エンドユーザーは気にしないということです。

岸下 そのとおりですね。だから当社では部門や業務内容によって、PCからスマートデバイスまで端末を使い分けて、それに適した画面デザインを工夫していこうと考えています。部門や業務の特性によって、入力効率が高いと5250画面のほうを好む部門もあれば、外出の頻度にかかわらずスマートデバイスのほうが使いやすいと要望する部門もあります。多少手間はかかりますが、それぞれのニーズに合わせてインターフェースを考えていくことが、 IBM iをこの先もうまく使っていくうえで欠かせないと考えています。

i Mag システム部門に求められるIT人材像をどのように考えていますか。

中野 RPG開発者は社内で育成しているとお話ししましたが、真の目的はプログラマーの養成ではなく、業務を改革し、システムに反映できるSEを育成することです。RPGはそのための道具にすぎません。

 これまでのシステム部門は、業務部門からの要望をそのまま取り入れる「受け身の姿勢」に徹する傾向がありました。しかし今後のシステム部門は業務を理解し、改革し、ときには業務部門に積極的にIT活用を提案することが重要です。

 それに向けて当社では、特定のプロジェクトやシステム開発時だけでなく、定常的にシステム部門と業務部門がコミュニケーションし、改善意識を育てる定例ミーティングを開催しています。営業企画部のスタッフは、整備サービス、リース、保険、経理などの各部門と毎月1回、必ずいずれかの、もしくは複数のミーティングに参加して、業務への理解力と提案力を培っていきます。このミーティングによる人材育成効果は大きいと思います。

 2017年は、契約システムの全面改修という大規模開発を予定しています。必要に応じて外部の手を借りることもありますが、基本的には自分たちの手で開発していくつもりです。自社の強みを最大限にシステムへ活かしていくには、業務を理解した人間による自社開発力こそが不可欠であると考えています。

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株式会社ジャストオートリーシング

IBM i User Profile

運用歴:1987年に導入
運用システム:販売管理システム、会計システム
RPGのプログラム本数:約6400本
開発言語:RPG
開発ツール:SmartPad4i
システム部門人員数:7名
構成
20代 1名
30代 3名
40代 3名
50代 0名

COMPANY PROFILE

本社:神奈川県横浜市
設立:1973年
資本金:3億6270万円
売上高:60億9000万円(2016年3月期)
従業員数:117名(2016年3月末)
事業内容:自動車リース業、自動車整備業、自動車販売業、損害保険代理業、自動車に関する一切の事業

https://www.justauto.co.jp/

[i Magazine 2017年 Spring (2017年3月)掲載]

 

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