MENU

新田ゼラチン|攻めの経営を支える基盤としてMaxava HA SMBを導入、着実に積み上げてきたデータ保全・BCP対策の次の取り組みとして選択

 

新田ゼラチン株式会社

美容・健康への効果や安全面が大きな注目を集めるゼラチンなどのコラーゲン素材。新田ゼラチンは、そのゼラチンなどのコラーゲン素材と、それらをベースとする高付加価値製剤を製造・販売する老舗企業で、今年創業100年を迎えた。1970年代から積極的な海外展開を進め、現在は8つの工場と15の拠点を、カナダ・中国・ベトナムにもつ。新たな100年へ向けて、意欲的な中期経営計画を掲げている。

・・・・・・・・
COMPANY PROFILE

新田ゼラチン株式会社
本社:大阪府八尾市
創業:1918(大正7)年
設立:1945年
資本金:31億4492万9440円
売上高:232億円(単体、2018年3月)、377億円(連結、2018年3月)
従業員数:262名(単体、2018年3月末)、1253名(連結、2018年3月末)
事業内容:食用・医薬用・写真用ゼラチンおよびコラーゲンペプチドなどの製造・販売。ゲル化剤・安定剤などの食品材料の製造・販売など。
http://www.nitta-gelatin.co.jp/

・・・・・・・・

 

株式上場前後から
データ保全・BCPに取り組む

 1918(大正7)年に工業用ゼラチン(にかわ)の製造・販売を開始した新田ゼラチンは、今年、創業100年を迎えた。1970年代から海外展開を積極的に進め、1975年にインド、1979年に米国へと進出し、以降、カナダ、中国、ベトナムに拠点を築いてきた。現在、国内に本社・工場を含めて3拠点、海外に8工場を含む15の拠点をもつ。ゼラチン市場におけるシェアは、国内でトップ(シェア60%)、海外では第5位(同5%)にランクされる。

 主力の事業は、コラーゲン素材とフォーミュラソリューションの2つで、動物の骨や皮などからゼラチンやペプチドなどを製造するコラーゲン素材事業は、その特性と安全性が注目されて、食品用、医薬用、写真用などへと用途が広がる。また、コラーゲン素材にさまざまな材料を配合して高付加価値の製剤を作るフォーミュラソリューション事業は、食品材料や接着剤分野での利用が進み、近年急速に伸びている事業である。

 同社は2011年に東証2部への上場を果たしたが(2012年に東証1部へ昇格)、その前後からデータの保全や事業継続に関する取り組みを強化してきた。

 2000年代にバックアップ・テープの遠隔保管、2008年に情報系で利用するキャリア回線の2重化、2014年に各拠点に配置したファイルサーバーの本社サーバーへのリモート・バックアップ、そして2014年に「コンプライアンス・リスク管理委員会」を正式に新設している。

「コンプライアンス・リスク管理委員会の取り組みとして、当社の事業継続に関わるリスクの洗い出しを全社規模で実施しました。このなかには情報システムも含まれ、その調査結果をまとめた『リスクコントロール表』は、当社のBCP対策の総覧ともなっています」と話すのは、管理本部システムソリューション部の鈴木邦之部長である。

 

鈴木 邦之氏 管理本部 システムソリューション部 部長

 

HAツール導入に
経営層が高い関心

 同社では、1980年にシステム/34を基幹サーバーとして導入して以来、システム/38、AS/400、System i、IBM iへと一貫してIBMミッドレンジ機を利用してきた。開発と運用は自社で行うのが基本方針で、システム/34の導入時からRPGをベースに基幹システムの開発・改修を続けてきた。

 ただし、「画面まわりの細かな作り込みはRPGでは困難」(鈴木氏)なため、2007年にDelphi/400を導入。グラフィカルなインターフェースを備えるシステムの開発も進めてきた。「現在、基幹システムの80%がRPG、20%がDelphi/400」と、鈴木氏は言う。

 最新の基幹サーバーは、今年4月に導入したPower S814(IBM i 7.3)である。その前のマシンは11年前(2007年)に導入したSystem i 520であったので、「サーバーの老朽化への対処」が入れ替えの理由である。

 移行に際して、基幹システムの可用性をどう担保するかが検討のテーマとなった。システムソリューション部では「HAツールの導入が本命」と考えていたが、当初はいったん、仮想テープ装置を用いたディスク・ツー・ディスクのデータ・バックアップを検討の俎上に乗せた。

 ところが、「経営層のほうが、HAツールの導入に高い関心をもっていました」と、鈴木氏は振り返る。

「当社の本社・工場は戦災を免れたため、一部で戦前からの古い建屋を使用しています。そうした耐震性能などに不安が残る施設は基幹サーバーを設置する建屋とは別ですが、とは言え、どのような影響があるか見通しのきかない部分もあります。しかしそれにも増して、コンプライアンス・リスク管理委員会の設置以来の経営層のBCPに対する強い意欲が、HAツールに対する関心の源だったと考えています」(鈴木氏)

 

最もリーズナブルな価格が
製品選択の決め手

 そこで、永年にわたり取引のあるIBMビジネスパートナーのスターコンピューターサービスに相談したところ、複数のHAツールを個々の評価を交えて提案された。そして同社で比較・検討のすえ選択したのが、Maxavaの「Maxava HA SMB」である。鈴木氏は、「他のツールと比べて、機能は同等かそれ以上であるのに、最もリーズナブルな価格だったのが決め手となりました。また、スターコンピューターサービスがMaxavaから技術認定を受けてることも安心材料でした」と、製品選定の理由を説明する。

 2018年1月に本番機・バックアップ機を購入し(前述のS814)、3カ月のテストを経て、4月からHAシステムを稼働させた。テストに時間を要したことについて管理本部システムソリューション部の水谷成孝マネージャーは、「当社の基幹システムは外部連携が多いので、その部分のテストを入念に行った結果です」と話す。本番機は大阪府八尾市の本社内に、バックアップ機は大阪市内の免震機能をもつ別施設への配置とした。

 

水谷 成孝氏 管理本部 システムソリューション部 マネージャー

 

 サービスイン後はまったく問題なく稼働してきたが、9月上旬の台風の影響により大阪市内が停電しバックアップ機がシャットダウンしたため、HAシステムが約6時間にわたり停止した。

「翌朝、バックアップ機を立ち上げ、Maxavaのメニューから『開始』を選択しシステムをスタートさせました。するとそれだけで、バックアップ機の停止中に本番機に蓄積されていたログの送信が始まり、ほどなく同期が完了しました。計らずもシステム切り替え訓練のようになり、Maxavaの便利さを確認できました」と、水谷氏は述べる。

 同社は今年4月に3カ年の「中期経営計画」をスタートさせた。フードソリューション、ヘルスサポート、バイオメディカルの3つを新たなコア領域とし、日本・アジア・北米に広がる生産体制を抜本的に変革するという意欲的な内容である。中期経営計画と同時にスタートしたMaxavaをベースとするHAシステムは、それらを支える基盤として期待されている。

 

[i Magazine 2018 Winter(2018年11月)掲載]

新着