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事例|豊鋼材工業株式会社 ~RPGとDelphi/400の混在型で、IBM iを今後も使い続ける

ベテラン開発者退職後の
人員補充が急務に

i Magazine(以下、i Mag) まずシステムの運用内容を教えてください。

石井 システム/38時代から、販売管理、生産管理、鋼材の発注管理、会計・給与など、基幹システムの多くをIBM iで運用してきました。ほとんどがRPGⅢで作成されたシステムです。このほかIBM iと連携する外部システムも、多数稼働しています。

 情報システム室は管理本部に帰属し、室長と女性スタッフ1名の合計2名が在籍しています。また現在の監査役はもともとシステム開発室の室長で、RPGでの開発に長く携わり、現行システムの内容を熟知しているので、何らかの複雑な開発・改修、あるいはトラブルが発生した際に応援を依頼し、対応してきました。つまり現在社内でシステムを担当できるのは私を含めて4名、そのうち3名がRPG開発者になります。

 私は、以前は製造本部でエンドユーザーとしての立場から、「Delphi/400」(ミガロ.)を使って生産管理系のアプリケーションを主体に開発していました。たとえば従来デジタルカメラを使って工場内で撮影していた使用鋼材の工事写真管理をスマートデバイスで実現するモバイルアプリや、工場の生産・稼働状況を見える化するPCアプリケーションなど、いろいろと開発してきました。

石井 裕昭氏
管理本部長代行(システム担当)

i Mag 管理本部長代行に就任されたのはいつですか。

石井 2016年10月です。実は先ほどお話しした監査役の在任期間が少なくなっています。既存システムに最も精通し、稼働中のRPGプログラムの多くを開発した監査役が戦力から外れると、システム業務が滞るのは明らかでした。そこで管理本部長代行として、今後のシステム環境と人員体制を含めた対策と方向性を整理し、強化していくことが私の職務となりました。

 実際のところ、情報システム要員は10年以内には現在の4名のうち、3名がいなくなるわけです。そのため今後に向けた人員体制の整備が急務であることを経営側にも説明し、理解してもらっています。

i Mag まず何から着手したのですか。

石井 監査役の戦力がなくなると、プログラムを全般にわたって把握することが困難になります。他者が作成したRPGのソースを見ても、その構造や内容、関連性などを理解するのは容易ではありません。ドキュメントや仕様書もほとんど残されていないので、後任として誰が情報システム室に配属されたとしても問題は変わらず、内容を理解するのは難しいでしょう。

 そこで最初のステップとして、2016年12月に、RPGソースやオブジェクトの分析ツール「X-Analysis」(ソリューション・ラボ・横浜)を第一コンピュータリソースから導入し、既存ソースの分析と可視化をスタートしました。また「Rational Developer for i」(以下、RDi)を導入し、オープン系と近い感覚でRPGを操作できる環境も整えました。RDiがあれば、エミュレータがなくても簡単な操作で編集が可能になり、フリーフォームRPGなどへの拡張も容易になると考えています。

既存の保守開発はRPGで
新規開発はDelphi/400で

i Mag 今後のシステム計画にはIBM iの利用をやめることも、視野に入っているのですか。

石井 IBM iの変更は考えていません。IBM iをこれからも使い続けるのを大前提に、開発言語と人員をどうするかという問題です。RPGは優れた開発言語であるのは確かですが、5250画面は表現力に欠け、モバイルなど新たなニーズへの対応力が十分ではないと考えています。

 そこで私としては、「脱RPG」とまでは言いませんが、Delphi/400とRPGの共存体制で今後を推進したいと考えています。既存のRPGプログラムの改修は継続しますが、製造の現場などで求められている多種多様な新規アプリケーションはDelphi/400で開発していくつもりです。また既存システムでも視認性や操作性、使い勝手の面で改善が必要と判断されるプログラムは、DB2 for IBM iと連携させつつ、Delphi/400で作り直していきます。ただここで問題になるのは、現在、Delphi/400を使えるのは社内で私だけという点です。

i Mag 今後の人員計画はどのように考えていますか。

石井 まず監査役に代わる人員の補充が急務ですから、即戦力として外部ベンダーからRPG開発スキルをもった要員を迎え、2017年3月から常駐してもらうことになりました。また取り急ぎ、情報システム室に2名の人員の中途採用を会社に申し入れています。

 募集する2名のうち、1名はRPGの開発者、もう1名はDelphi/400の開発者として採用したいと考えています。これらの言語による開発経験のあるスタッフが理想ですが、何らかの言語による一通りのプログラミング経験があれば、RPGもDelphi/400も習得は可能でしょう。RDiも導入しているので、比較的違和感なくRPGを使えるようになると期待しています。最終的にはもう1名を加えて、3名が必要です。3人目はPCやネットワークなどの運用管理系も含めて一通りカバーできるよう若手を配属させ、RPGとDelphi/400の両方を使えるように育てたいです。

i Mag 内製を軸にした開発体制も変化していくことになりそうですか。

石井 今までは100%内製で開発してきました。しかし外部から常駐スタッフを迎える時点で、開発体制は今までと変わることになります。製造現場と密接に関連するシステムは自社の競争力の源泉であり、やはり内製で開発したいと思いますが、人材の問題はこちらの希望どおりには進まない可能性もあります。だからその都度、状況を見ながら外部の手を借りる場面が増えるかもしれません。その場合は、開発状況をきちんとコントロールしていく能力を養う必要があります。また今まで自分たちで実施してきたPC端末の入れ替えなど単純な作業は外部に依頼して、社内の業務を軽減していくことも必要でしょう。

 いずれにしても、まずは「人ありき」なので、人材の確保と育成に努め、RPGとDelphi/400をそれぞれうまく活用しつつ、IBM iをこれからも利用していきたいと考えています。

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豊鋼材工業株式会社

IBM i User Profile

運用歴:システム/38時代から
運用システム:販売管理、生産管理、鋼材の発注管理、会計・給与の各システム
RPGのプログラム本数:約8400本
開発言語:RPG
開発ツール:Delphi/400
システム部門人員数:2名
構成
20代 0名
30代 0名
40代 1名
50代 1名

COMPANY PROFILE

本社:福岡県糟屋郡
設立:1948年
資本金:4億5000万円
売上高: 176億円(2015年度)
従業員数:215名
事業内容: 鉄鋼およびその他金属の加工・販売、二次加工・販売

http://www.yutaka-steel.co.jp/

[i Magazine 2017年 Spring (2017年3月)掲載]

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