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日本IBM、「IBM Bob V2」を提供開始。「ゼロから作り直し」、アーキテクチャを刷新。バックグラウンド実行やWorkflowsなど機能を大幅に強化・拡充

日本IBMは6月24日、AIコーディング支援ツール「IBM Bob」の新バージョン「IBM Bob V2」(以下、V2)の一般提供を開始した。

V2は、従来版のV1(3月24日に一般提供開始)を「ゼロから再設計したもの」で、処理速度の向上、バックグラウンドタスク、サブエージェント、ロールバック、ドキュメント操作、Workflowsなど、日常的な開発業務を支援する機能を大幅に強化した。

V2は、まずBob IDEに搭載され、Bob Shellにも順次対応する。移行は通常のアップデートで行え、既存の設定、ルールファイル、MCPサーバーはそのまま引き継がれるという。

3層アーキテクチャへ再構成

またV2では、IDE拡張とシェルがそれぞれ別の基盤で動作していた従来の構成を見直し、推論、インフラ、インターフェースを分離した3層アーキテクチャで再構成した。

中核となる「エージェント」は推論とコード生成を担い、「ハーネス」は認証、ログ、フィーチャーフラグ、テレメトリなどの共有インフラを担当する。「クライアント」はIDEやシェルなどのユーザーインターフェースに特化し、ロジックの重複をなくした。

この刷新により、複数クライアントで一貫した動作を実現するとともに、新機能の提供や改善をより迅速に行える基盤を整えた。

サブエージェントでコンテキスト消費を抑制

IBM Bobは、昨年(2025年)10月の発表以前からIBM社内で広く使われ、現在はメインフレームシステムからクラウドネイティブサービスの担当まで、10万人を超えるIBM社内の開発者が利用中という。V2も一般提供前から大規模に社内で使われ、今回発表された機能は、実際の本番環境での利用実績を踏まえてリリースされた。

V2の特徴の1つは、「サブエージェント」である。Bobが「このコードベースで認証がどう動いているかを調べる」といった調査を行う場合、独自のコンテキストを持つサブエージェントを起動する。サブエージェントはファイル読み込み、呼び出しの追跡、パターン把握などを実行し、メインエージェントには要約だけを返す。これにより、メインタスクの会話が不要な探索履歴で埋まることを防ぎ、コンテキストを効率的に使うことができる。

並列ツール呼び出しで高速化

V1では、ファイル読み込みや検索などのツール呼び出しを1件ずつ順番に実行していた。V2では、モデルが1ターンで複数のツールをリクエストし、それらを並列実行できる。5つのファイル読み込みと3つの検索を伴うようなタスクでは待機時間を大きく削減でき、V1で約30秒かかっていた処理が10秒以内に完了することも珍しくないとしている。

また、ネイティブツール呼び出しにより、V1で必要だった冗長なXML形式のツールリクエストが不要になった。これにより同じタスクで消費するトークン数を削減できる。コンテキストウインドウも200kトークンから270kトークンへ拡大された。

IBM Bobのモードは、Agent、Plan、Askの3種類へ整理

操作モードは、従来の5モードから「Agent」「Plan」「Ask」の3種類に整理された。Agentは、Bobがアクションを起こしてタスクを完了するフルエージェントモード。Planは要件収集、コンテキスト把握、理解確認を経て、Agentに渡せる実行可能な計画を生成する。Askは読み取り専用で、コードベースを変更せずにアーキテクチャやロジックを説明する。

IBMは、慣れていないコードや影響範囲の広い変更では、まずAskまたはPlanから始め、作業内容が明確になった段階でAgentに切り替える使い方を推奨している。

承認操作を簡素化、変更操作は明示承認を維持

V2では、ファイル読み込み、ディレクトリ一覧表示、コード検索などの読み取り操作は、デフォルトで承認済みになった。これにより、Bobは確認を挟まずに必要なコンテキストを収集できる。一方で、ファイル編集、コマンド実行、MCPツール呼び出し、スキル呼び出しなど、状態を変更する操作については引き続き明示的な承認が必要となる。承認設定は、ツールクラスごとに厳格化または緩和できる。

複数タスクをバックグラウンドで実行 

バックグラウンドタスク機能により、開発者は複数のBobタスクを同時に走らせながら、別の作業を継続できる。各タスクは独自のスレッドとコンテキストを持ち、切り替えても作業位置が保持される。タスクパネルでは、実行中、完了、要対応といった状態を確認でき、完了済みタスクは自動的に整理される。バックグラウンドでタスクが完了しても、フォーカスや作業中のタブは切り替わらない。

Gitに依存しないロールバック

V1で「チェックポイント」と呼ばれていた機能は、V2で「ロールバック」に刷新された。従来はGit上に構築されていたため、Gitリポジトリがない場合は利用できず、履歴が膨大になると動作が遅くなる制約があった。V2ではファイル状態をタスクごと、会話ターンごと、個別ツール呼び出しごとに直接追跡し、任意の時点に復元できる。ロールバックはエージェント側に組み込まれているため、どのクライアントでも同じように機能する。

.docx、.pdf、.xlsxをネイティブに読み込み

V2では、コードベース外にある設計ドキュメント、仕様書、テストケースのスプレッドシートなども扱いやすくなった。.docx、.pdf、.xlsxファイルをネイティブに読み込めるため、会話にドロップするだけでBobが作業に利用できる。コピー&ペーストや別途抽出作業は不要となる。

出力面では、分析タスクの最後に、調査結果をまとめた自己完結型のHTMLサマリーを生成できる。ブラウザで開ける形式であるため、セッションに参加していない関係者にも共有しやすい。

既存設定や外部ツール連携を継承

V2は、既存の規約、ルールファイル、コマンド、MCPサーバーを読み込める。さらに、エコシステムでデファクトスタンダードになりつつあるpluginフォーマットのサポートも追加した。MCPサーバーについてはV1から専用設定タブが用意されていたが、V2ではスキル専用タブも追加され、スキルの追加、設定、削除をファイル編集なしで行える。

Workflowsで大規模開発作業を再現可能に

V2では、大規模かつ複数フェーズにわたる変更を繰り返し実行可能にする「Workflows」も導入された。AIはオープンエンドな問題解決を得意とする一方、同じ作業を毎回同じ手順で実行することは苦手である。Java 21への移行のような依頼でも、実行タイミングによって異なるアプローチや結果になる可能性がある。

Workflowsは、こうしたばらつきを抑え、大規模なエンタープライズ作業に再現性を持たせるための仕組みである。依存関係のスキャンやテスト実行のような純粋な自動化、複雑なコード変換やパターン分析のようなAIが必要な工程、戦略承認やコミット前の差分レビューのような人間が関与すべき工程を定義し、エンジンが順番に実行する。状態保持やエラー処理にも対応する。

IBMは、IBM i向けの「IBM Bob Premium Package for i」、IBM Z向けの「Premium Package for Zを、V2と同じ6月24日にリリースした(Javaモダナイゼーション向けの「IBM Bob Premium Package for Java」は6月15日にリリース済み)。各パッケージには、IBMが各領域で蓄積してきた知見をもとに検証・設計されたWorkflowが含まれる。

6月24日時点で利用できるWorkflowは、Bob本体およびこれらのパッケージに付属するものに限られ、より広範な作成機能はAPI仕様が固まり次第、アーリーアダプター向けに順次公開される予定という。

今後はリモート実行や複数エージェント連携も視野

IBMは今後の方向性として、エージェントのリモート実行、任意のクライアントからのアクセス、複数エージェントによる協調動作、より多くのクライアントへの展開などを挙げている。ただし、具体的な日程や提供を確約するものではなく、アーリーアダプターのニーズに応じて実装方針を決めるとしている。

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