Gartnerは10月27日、2027年のインフラストラクチャおよびITオペレーション(I&O)におけるAIのトップ・トレンドを発表した。
I&Oを統括する責任者は、ITオペレーションを改善すると同時に、全社的なAIイニシアティブを実現することが、ますます求められている。Gartnerが2026年4月から5月にかけてI&O統括責任者272人を対象に実施した調査では、回答者の58%がAIの概念実証(PoC)を自社のインフラストラクチャやITオペレーションに導入・拡大することが、今後12カ月間の重要な優先事項になると考えていることが明らかになった。
Gartnerは、I&O統括責任者が今すぐ注目すべきAIのトレンドとして、次の5つを特定した。これらは、AIを活用してオペレーション効率を高め、コストを最適化し、AI推論を支えるために必要なハイブリッド・インフラストラクチャを構築し、相互に影響を及ぼし合いながら密接に関連するITオペレーションリスクとサイバーセキュリティ・リスクに対処するとともに、エンタプライズAIプラットフォームのオーケストレーターとしてのI&Oの役割を強化する。

AIエージェントが自律型ITオペレーションを加速
I&Oにおけるエージェント型AIは、目標達成を志向するソフトウェア・エージェントへと移行する動きを示している。これらのエージェントは、人間の介入を最小限に抑えながら、複雑なITワークフローを実行できる。ITオペレーションの複雑性、規模、スピードが増す中、組織はインシデント・アラートのトリアージ、変更の検証、問題の修復などの作業を自動化するために、AIエージェントを導入している。
Gartnerは、2030年までに、組織の50%がITオペレーションにおいて、人間の関与を最小限に抑えたAIエージェントを利用するようになると予測している。これは2026年時点では、ほぼ0%からの大幅な増加となる。
エージェント型AIがトークン・エコノミクスの課題を生み出す
対話型AIから自律型のエージェント型AIワークフローへの移行により、トークン消費量が大幅に増加している。従来のAIとのやり取りとは異なり、エージェント型システムは、複雑な複数ステップのタスクを実行するため、爆発的なトークン消費量を必要とする。その結果、I&Oチームに新たなコスト管理上の課題が生じている。
Gartnerは2027年までに、トークン使用量に連動した上限なしの変動価格モデルでITオペレーションにAIエージェントを導入する企業は、予測可能なサブスクリプション型およびバンドル型の料金モデルを利用する企業と比べ、初期コストの予想から50%超上回って負担することになると予測している。
Gartnerは、AIへの支出とトークン使用量に関する盲点をなくすため、「テレメトリがなければ導入しない 1(no telemetory, no deployment)」という厳格な方針を推奨している。
AI推論がハイブリッドAIインフラストラクチャの台頭を促進
大半の企業は、モデルをゼロからトレーニングするのではなく、推論を通して既存の基盤モデルを利用している。企業データは、パブリック・クラウド、プライベート・データセンター、エッジ環境に分散して存在している。そのため、AIインフラストラクチャはますますハイブリッド化している。この変化は、プライバシー、コスト、パフォーマンス、データ主権に関する要件によって加速している。
2029年までに大企業の80%が、パブリック・クラウド、ネオクラウド、オンプレミスのデータセンター、エッジ拠点など、少なくとも3つのインフラストラクチャ環境にわたって、本番環境のAIワークロードを運用するようになるとGartnerは予測している。
AIがITオペレーションリスクとサイバーセキュリティ・リスクを融合
AIが企業インフラストラクチャにますます組み込まれていく中、ITオペレーションリスクとサイバーセキュリティ・リスクは、より密接に関連するようになっている。共通のAIツール、テレメトリ、そしてAIエージェントの利用拡大により、レジリエンス、リスク管理、オペレーション効率を向上させるため、I&Oチームとセキュリティチームはより緊密な連携を迫られている。
Gartnerは2030年までに、企業の25%がネットワーク・オペレーション・センター(NOC)とセキュリティ・オペレーション・センター(SOC)を統合すると予測している。こうしたチーム統合は2026年時点の5%から増加し、ツールおよび人員にかかる総支出が25%以上削減されると予測している。
I&OがエンタプライズAIプラットフォームのオーケストレーターへ
クラウド、データセンター、エッジ環境におけるAI導入が進む中、AIインフラストラクチャ、ガバナンス、セキュリティ、オペレーションを統合的に管理する必要性が高まっている。その結果、I&Oは従来のゲートキーパーとしての役割から、エンタプライズAIプラットフォームのオーケストレーターへと進化している。これにより、企業は信頼性、安全性、費用対効果を確保しながら、AIを導入・拡張できるようになる。
Gartnerは2030年末までに、AIインフラストラクチャの設計、アーキテクチャ、サポートを主導する強力なI&O機能を持たない組織は、AIイニシアティブに失敗する可能性が2倍以上高くなると予測している。
[i Magazine・IS magazine]







