事例|三和産業株式会社

POINT

・長年の運用で陳腐化した販売管理システムを全面刷新
・独自要件をきめ細かくカスタマイズ可能なEV販売を導入
・システム導入を機に受注締め時間の前倒しに成功

 

長年の利用でシステムが陳腐化
販売管理の全面刷新へ

三和産業はパン・菓子類の原材料や機械設備を提供する専門商社である。

主要な顧客は、焼きたてのパンを販売する街のベーカリーショップだ。小麦粉やイースト・卵など多種多様な食材、調理器具や設備、そして包装材の類に至るまで、およそベーカリーショップが使用するあらゆるアイテムを取り扱っている。多くは個人経営である小規模店舗の要望にきめ細かく対応しつつ、研究開発型の商品・情報・企画・物流を一貫して提供できる点が最大の強みであろう。

同社は約16年ほど前に、AS/400上で独自開発した販売管理システムを使い続けてきた。プログラムの修正・追加を繰り返した結果、システムが整合性を失い、業務のさまざまな局面で非効率を感じることが増えていたという。

例えば、マスターの陳腐化がある。商品名を省略して登録してきたため、同一商品を二重登録しているケースがある一方、必要な項目が不足しているので、BIツールを利用しても、必要な情報を把握できないという不満が寄せられていた。

また在庫管理の精度が十分ではなく、発注担当者が毎日、倉庫内の在庫を確認する必要があった。さらに、仕入・発注作業ともに手書き処理が多く残り、同じデータを何度も入力する煩雑さを解消しきれていなかったようだ。

黒田勝士社長は、長年の運用ゆえに起きる、こうしたシステムの弊害を5年ほど前から感じ始めたというが、昨今は食文化の多様化により取り扱うアイテム数が急増。多品種小ロット発注の増大に伴い、残業時間も増加の一途をたどり、ついに基幹業務システムの全面再構築を決断した。2007年秋のことである。

黒田社長は、「時短」「戦略」「在庫」という3つのキーワードを掲げ、新しいシステムの導入を社内に宣言した。

二重入力の解消やミスの防止を目的に、業務やマスターを見直す。手作業のシステム化を徹底して、月末に集中していたチェック業務を平準化することで時短、すなわち残業を減らす。

さらに在庫管理の精度を向上させ、棚区分やロケーション情報を正確に管理することで在庫種別を把握して、在庫削減と見える化を実現する。そして基幹データをBIツールで活用することで、必要な情報をいつでも活用できる環境を作り出す。

こうした目標に向けてベンダーに要件を提示し、具体的なシステム検討に動き出したのは、2008年10月のことであった。

黒田 勝士 氏 代表取締役会長
黒田 勝士 氏
代表取締役会長

 

顧客を巻き込んだ業務改革で
大きな改善効果を得る

新・販売管理システムの提案には、日本ビジネスコンピューター(JBCC)を含む4社が参加した。IBM i上で稼働する販売管理システム「EnterpriseVision販売(以下、EV販売)」を提案したJBCCを除く他3社は、Windowsサーバー上で利用する食品業界向けの業務パッケージを提案したという。

結果的にEV販売を選択するに至った過程を、黒田社長は次のように語っている。

「食品業界には特殊な業務要件が多く、完成しすぎたパッケージ製品では対応しきれないと考えました。業務をシステム側に合わせることで生まれるであろう業務負荷と現場の反発に、不安を覚えたのです」

例えば、同社には「非定型在庫」と呼ばれる商品がある。客先からの注文があって初めて取り寄せる非在庫商品のうち、個人の判断で、注文に先立って取り寄せてはおくが、在庫には計上しない商品のことだ(同社では「個人在庫」と呼ばれている)。

在庫精度の向上を考えれば、個人在庫は廃止するのが望ましいが、客先の急な発注に対応するには、絶対に必要な要件である。こうした慣習をシステムでサポートするには、きめ細かなカスタマイズが不可欠となる。

「どのベンダーもカスタマイズで対応すると表明していましたが、完成形が見えづらく、どこまで実現できるのか判断できませんでした。その点、最初からカスタマイズを前提にしたEV販売は、独自ニーズに柔軟に対応していけると考えました。BIツールとしてNewWorkFriend-FXを長年使用しており、JBCCの対応やサポート力を承知していたので、それも大きな安心材料になりましたね」(黒田社長)

「パッケージのライセンス価格にカスタマイズの開発コストを積み上げた他社の見積もりに比べると、IBM iとEV販売の方が、Windows上のパッケージ製品よりもコストを抑えられるとの結論に達しました」と語るのは、システム導入を担当した業務管理課の後藤和昌課長である。

さらに、長年のユーザーでありIBM iの信頼性や運用管理性を熟知するゆえに、Windowsサーバーの運用に不安を感じたことも、判断に影響したようだ。

こうして2009年3月、EV販売の導入を正式決定。同社の新年度が始まる2009年11月を目標に、急ピッチの開発・導入作業が始まった。多くの独自要件をシステムに反映すべくカスタマイズ作業を進めた結果、わずか8カ月という短時間で無事にシステムは本稼働を迎えている。

構築の過程では、顧客を巻き込んだ業務改革にも着手したという。同社では納品当日の朝に入る受注が頻繁にあり、業務効率を阻害する要因になっていたが、「システム導入を機に前日15時までに発注していただくよう、お客さまへのご説明とご依頼を繰り返しました」(後藤氏)。

場合によっては、顧客を失うリスクも考えられ、「かなりの覚悟が必要だった」と黒田社長が指摘する業務改革であったが、結果的には、それまで70%だった前日受注が導入後は平日95%以上と劇的に改善。大きな業務効率化を達成したのである。

このほか事務効率の向上による残業時間の削減、データ分析をベースにした営業展開、在庫精度の向上など、当初の狙いどおりの業務改善に成功したようだ。

後藤 和昌 氏 業務管理課 課長
後藤 和昌 氏
業務管理課 課長

 

COMPANY PROFILE

創業:1948年
本社:東京都足立区
資本金:5100万円
売上高:75億3000万円(2009年度)
従業員数:150名
http://www.sanwasangyo.co.jp/