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事例|日本ビルサービス株式会社

判断・展開のポイント
・グループ全体で基幹システムをWindows環境へ移行
・一部機能がサポートされないためiSeriesを残す
・クラウドサービスへ移行し必須機能の継続利用へ

基幹システムの移行後も
iSeries の利用を継続

日本ビルサービスは1952 年、国内初の契約によるビル管理会社として誕生した。それ以来、「環境とビルの共生」を掲げ、東京を中心に全国で800 棟以上のビルを受注管理している。

2005年に株式会社ビル代行が全株を 取得して以降は、同グループに所属し、 親会社であるビル代行との相互補完関係をベースに事業を展開している。

同社は2008 年、iSeries 820 上で運 用していた販売管理・会計・人事・給 与の各システムを、Windows サーバー上で稼働する国産の統合業務ソリュー ションに移行した。この背景には、ビル代行による株式取得と同グループへ の参加がある。

日本ビルサービスがシステム/34上 で基幹システムの運用をスタートしてから、運用歴は30年近くに及ぶ。販売管理はRPGによる手組みで開発され、 人事・給与・会計はパッケージ製品を大幅にカスタマイズしていたが、マシンの老朽化に加え、長年運用していた 基幹システムが新しい要件を満たせな くなっていた状況を考慮し、株式取得の前年に、マシンのグレードアップと システムの再構築を検討し始めていた。

実際に数社のベンダーから提案を受 けるなど具体的な選定作業に入ったが、正式決定に至る前に株式取得が発表され、いったんこの検討は白紙に戻すことになった。

一方、親会社であるビル代行の方も ちょうどその頃、やはり同じようにそ れまで利用してきた基幹システムの見直しに入っていた。そこで日本ビル サービスが同グループに参加したのを契機に、親会社を中心にしたグループ 全体でのシステム再構築プロジェクトがスタートしたのである。

パッケージを中心に製品選定が実施 された結果、富士通のWindowsサー バーであるPRIMERGY上で稼働する 国産の統合業務ソリューションの採用が決定した。日本ビルサービスもこれに従い、基幹システムを刷新。新たな統合業務ソリューションが本稼働した のは、2009年1月のことである。

ただし同社では本稼働後も、親会社の本社ビル内に設置された PRIMERGYを使用する一方、データ参照用にiSeries 820 をそのまま使い続けることになった。

「新しい統合業務ソリューションで は、過去の人事・給与データを参照す る機能がサポートされていません。頻 繁ではないものの、日々の業務の中 で、過去に遡って退職者を含めた給 与・勤怠のデータを確認する必要が必 ず生じるので、これは欠かせない機能 です」と語るのは、人事部の堀江鉄也課長。

「しかしそのためにデータを移行し、 新システム側のDBを構築して過去 データの参照を可能にしようとする と、多額の開発費が必要になると判明 しました」と、人事部の杉浦健係長も 当時の状況を振り返る。

また販売管理システムの方でも、新システムでは従来運用していた一部の帳票が出力できず、カスタマイズには、やはり相当額のコストが必要になることが分かった。

多額の追加コストをカスタマイズに費やすよりも、過去データの参照や帳票印刷にのみiSeries 820を利用し、再リース料とハードウェアやソフトウェアの保守料を払い続けた方が低コストで済むという判断が働いたために、iSeries 820の存続を決定したという。

安部川 恵司 氏 企画管理本部 システム情報部 部長
安部川 恵司 氏
企画管理本部
システム情報部 部長

クラウドサービスの利用で
業務に必要機能を補完

こうして新システムでサポートされない機能を補う目的で、iSeries 820との並行稼働が3年近く続けられた。

「 iSeriesは問題なく稼働はしていましたが、いずれは老朽化して使えなくなる日が来ます。今のまま保守費と再リース費用を払っていつまで使い続けられるのか、あるいはどこかのタイミングで新しい統合業務ソリューションをカスタマイズする作業に踏み切るべきか、頭を悩ませていた時、日本ビジネスコンピューター(JBCC)からクラウドサービスの提案を受けました」(企画管理本部 システム情報部 安部川 恵司 部長)

2011 年6 月に提案されたのは、「JBクラウドサービス for IBM i」の利用である。iSeries 820 上で稼働する販売管理・会計・給与・人事システム一式を、JBCC が所有するSystem i上の1 区画に移行して、クラウド型で利用するもの。メモリ2GB、ディスク146GBなど標準サービスの利用で、月額料金は10万8000円である。

「この額であれば、モデル820 の利用を続けるより、ずっと低コストでの運用が可能になると考え、即座に検討に入りました」(安部川氏)

同社が懸念したのはネットワークのレスポンス、操作性の変化、そしてOSのバージョンがV4R5 から6.1 へと変わることへの対応であった。そこで2011 年7 月、JBCC はCLIC( クラウド・インテグレーションセンター)で、既存システムのクラウド環境への移行、およびIBM i 6.1 環境での検証作業を実施した。

その結果、クラウドサービスでの運用に全く問題はないとの確証を得て、2011 年7 月にJB クラウドサービス for IBM iの採用を決定。同年11月から利用を開始した。

同社ではそれまで運用していた5250端末や5577系のドットプリンタなどの環境はそのまま残し、サーバーのみをクラウド環境へ移行した。マシンのスペックが上がった分、レスポンス速度は以前よりずっと向上したという。

今回の事例は、システム/34時代から、手組みできめ細かく自社要件を反映してきた基幹システムの使いやすさに対し、統合業務ソリューションでサポートできなかった部分にクラウドサービスをうまく活用して再現した同社ならではの工夫と言えよう。img_56e7a04462cd0

堀江 鉄也 氏 人事部 課長
堀江 鉄也 氏
人事部 課長
杉浦 健 氏 人事部 係長
杉浦 健 氏
人事部 係長

 

COMPANY  PROFILE

設立 : 1957年
本社 : 東京都千代田区
資 本 金 : 9000万円
従業員数 : 941名(2011年3月)
http://www.nbsgrp.co.jp/

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