Home Watson-AI BriefCam Syndex|独自の技術でサマリー映像を作成、動画の再生・確認時間を劇的に短縮する

BriefCam Syndex|独自の技術でサマリー映像を作成、動画の再生・確認時間を劇的に短縮する

by kusui

動くオブジェクトだけを抽出し、タグ付けしてデータベース化 ~株式会社サードウェーブソリューションズ

 

イスラエルのITベンダーが開発した
映像解析ソリューション

「BriefCam Syndex」(以下、BriefCam)は、蓄積された膨大な録画映像を効率よく再生・確認するためのユニークな映像解析ソリューションである。

同製品を開発したのは、イスラエルに本社のあるBriefCam社。イスラエルは科学技術立国、起業立国を目指しており、大学の研究成果を民需で活用すべく、国策としてスタートアップ企業を強力に支援している。同国からは先端的なベンチャー企業が数多く誕生し、グローバルに製品を提供する。BriefCam社も、そうした注目企業の1社である。

BriefCamの中核技術は、「ビデオシノプシス」(Video Synopsis)と呼ばれる映像サマリー機能であり、2000年にヘブライ大学のシュミエル・ペレグ教授が開発した。

ヘブライ大学の技術移転機関であるYissum(イーサム)は、開発された技術や研究成果を国内外の企業や各国政府に対し定期的に紹介しているが、ビデオシノプシスの技術を米国国防省代表団に紹介したところ、非常に高く評価され、製品化を強く推奨された。そこでペレグ教授を含む3人の創業者により2008年、BriefCam社が設立された。同製品は今や、世界40カ国、2000サイト以上に導入されている。

国内では2015年夏から、サードウェーブソリューションズおよびそのグループ会社であるゴールデン・マイクロ・システムズ株式会社が販売を開始した。ゴールデン・マイクロ・システムズは、Power Systems上で稼働する高速・大容量対応の映像配信装置である「G-Matrix」など、多彩な映像配信・管理ソリューションを開発・販売している。

「映像データを効率的かつ効果的に活用していく手法を模索するなかで、BriefCamに着目しました。最近は監視カメラの設置数が増え、膨大な録画映像が蓄積されていますが、ほとんど見直されることはありません。また確認する必要が生じた場合も、膨大な録画映像から該当する映像を探し出すのに、多大な労力と工数を要しています。こうした映像データを短時間で検索し、さらにそこから、今まで気づけなかった価値を創出するために、BriefCamは大きな役割を果たすと考えています」と語るのは、サードウェーブソリューションズの潮田一志代表取締役社長である。

 

ビデオシノプシスにより
映像をタグ付けしてDB化

BriefCamは、独自の手法で映像サマリーを作成するビデオシノプシスにより、長時間の映像をきわめて短い時間で再生できる点に大きな特徴がある。単なる早送りとはまったく異なるその仕組みを見てみよう(図表1)。

 

【図表1】BriefCam Syndexの仕組み

まず監視カメラで撮影した映像データを、BriefCamに取り込む(精度を保つには、1秒当たり15フレーム以上の動画であることが必要)。BriefCamはこの映像に対して、動きのあるオブジェクトだけを動画として抽出し(1秒以上の動きがあればオブジェクトとして検出)、人(男性・女性)、車(タイプ)、色、そしてオブジェクトのフレームインからアウトまでの起動、方向、時間などをタグ付け(索引付け)し、データベース化する。

「このように抽出したオブジェクトを効率よく並べ替え、時間軸を無視して一気に再生します。BriefCamでは、異なる時間に動いたオブジェクトも同時に再生するので、再生時間を大きく短縮できるわけです」と説明するのは、ゴールデン・マイクロ・システムズの鈴木由希子マネジャー(BriefCam事業推進部)である。

たとえば30分の映像であれば、53秒で見直すことが可能となる(図表2)。再生時間は、実際には動くオブジェクトの量に依存している。多ければ、それに応じて再生時間は長く、少なければ短くなる。

 

【図表2】オリジナル映像とサマリー映像の比較

右は時間軸に沿って再生したオリジナル映像で、動くオブジェクトはまばら。左は全オブジェクトを同時に再生したサマリー映像。
混雑して見えるが、同じ時間に歩いているわけではない。

タグ付けされた映像がデータベースで構造化されているので、調査したいオブジェクトを絞り込み検索で明らかにできる点も大きな特徴である。

たとえば色で抽出する(「赤い車」「黄色い服を着た男性」など、図表3)、方向で抽出する(「北へ向かう人間」など、図表4)といったように、該当するオブジェクトだけを再生できる。

 

【図表3】色による絞り込み:青い服を着た人間で検索し、該当オブジェクトだけを再生する。

【図表4】方向による絞り込み:一定の方向へ向かうオブジェクトだけを再生する。

あるいはフリーハンドで曲線を描き、その軌道をたどったオブジェクトを抽出する(図表5)。一定時間、同じ場所に停留している車や人を探し出す。一定の速度で動くオブジェクト、あるいは一定のサイズをもつオブジェクトだけを絞り込む(図表6)。

 

【図表5】軌道による絞り込み:フリーハンドで描いた起動と同じ動きをするオブジェクトだけを再生する。

【図表6】サイズによる絞り込み:一定のサイズのオブジェクトだけを再生する。

さらに同じ方向へ時間差で歩いている(誰かのあとをつけていると思われる)人間を再生するなど、さまざまな絞り込み検索を実行できる。

個々のオブジェクトには通過時間(何時何分)が表示され、画面内・時間内のオブジェクト数(人数、台数など)を表示することも可能だ。気になるオブジェクトを発見したら、ダブルクリックするだけで元の映像を再生できる。

このほか、オブジェクトの通行・通過量の最も多い部分を抽出して、色分けで表示するヒートマップ機能も備えている(図表7)。

 

【図表7】ヒートマップ機能:通行量の多いエリアを赤色で表示している。

一般の映像解析ソフトとは異なり、事前に一定のオブジェクトを登録する必要は一切ない。

映像の取り込みはUSBメモリを使ってもよいし、ネットワーク接続によるVMS連携でも対応できる。BriefCam Syndexシリーズには4つのラインナップがあり、最小構成は1台のスタンドアロンで利用可能な「BriefCam Syndex FS」、ライセンス価格は200万円からになる。

 

セキュリティからマーケティングまで
多彩な導入事例

BriefCamは各国の法執行機関をはじめ、警備会社、空港をはじめとする重要インフラ施設、交通機関、学校、商業施設、工場など、さまざまな場所で利用されている。

たとえば2013年に発生したボストンマラソン爆弾テロ事件の捜査で利用され、容疑者特定に大きな役割を果たしたことが知られている。

また米マサチューセッツ州のGeneral Hospitalでも導入されている。ボストン近郊にあるこの州立病院は17エーカーの広大な敷地に医療機関、大学、研究所など多くの施設を備え、3万人のスタッフを擁する。

ここには患者や見舞客、学生や研究者、職員など1日6万人が出入りし、敷地内には1万3000台の監視カメラが設置されている。そして監視映像を再生・確認する必要のある問い合わせが、実に年間31万件も寄せられる。

警備スタッフは、忘れ物の確認など軽微な問い合わせから深刻度の高いインシデントまで、さまざまな映像確認業務に日々忙殺されていた。しかしBriefCamの導入により、再生に必要な業務時間が劇的に短縮され、事前対処の必要があるエリアの特定など、敷地内のセキュリティ性も大きく向上したという。

このほか米国の大手デパートでは、ヒートマップ機能を利用して、店舗内の顧客の流れや動線を分析し、フロアレイアウトや商品の配置などマーケティング情報として活用している例もある。このようにセキュリティ目的の利用に加え、最近ではマーケティングデータとしての活用例も増えている。

「国内でも発売以来、確実に導入実績が増えています。現在は法執行機関や警備会社での利用に加え、セキュリティ向上とマーケティング活用の双方を目的にしたリテール企業での導入も始まっています」と、村上利晃氏(サードウェーブソリューションズ 営業部 シニアスペシャリスト)は語る。

 

映像解析は「使い方の提案」が
重要なソリューション

BriefCam は現在のところ、男性・女性、車両のタイプ、色などの識別をマシンビジョン技術により実行しているが、識別精度をさらに向上させるため、2018年にリリース予定の次バージョンではディープラーニングを実装する計画だ。

そうなれば現行の識別精度向上に加え、子供・大人の判別、犬・猫など動物の識別、バイクや自転車など対象車両の拡大、さらに電車や飛行物なども含め、識別対象となるオブジェクトが大きく広がることは間違いない。

サードウェーブソリューションズの提携パートナーとして、BriefCamの販売を手掛ける株式会社イグアスでは、クラウド型監視カメラソリューションである「EagleEye」と組み合わせながら、提案型の販売に力を入れていくという。

「BriefCamでは、監視カメラやネットワーク、ストレージなどで構成されたトータルなソリューションを提供すると同時に、映像をどのように活用して価値を発見していくかという『使い方の提案』が重要であると考えています。膨大な監視映像は今のところただ蓄積されているだけで、有効に活用されていません。また現在は監視カメラをまだ導入していないけれど、映像が手元にあれば、価値を見いだせるケースもあるでしょう。当社では、その価値ある使い方を積極的にご提案していくつもりです」と、イグアスの石井優司理事(クラウド&ソリューション事業部長)は語る。

監視映像の活用はセキュリティ面だけでなく、マーケティングをはじめとした多彩な領域で大きな可能性を秘めている。BriefCamはこれから、その未知の領域を開拓していくことになりそうだ。

・・・・・・・・

IS magazine No.17(2017年9月)掲載

related posts