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IBM i 7.4の到達点 ~DXを見据えたメジャーリリース |特集|IBM i 7.4 PART2

機能拡張、ハードウェアサポートが示す将来の方向性

三神 雅弘氏

日本アイ・ビー・エム株式会社 
システム事業本部
コグニティブ・システム事業開発
シニア IT スペシャリスト

 

2~4年の間隔で
メジャーリリースを継続

 IBMでは、IBM iに関して「製品ロードマップ」と「サポートロードマップ」の2つのロードマップを提示している。

 IBM i製品ロードマップは、最新のリリースから2つ先のメジャーリリースの提供を示しており、将来にわたる継続的な技術革新への取り組みを示すものである。今回のIBM i 7.4のリリースにより、製品ロードマップはIBM i 7.4から2つ先のメジャーリリースを示すように更新された(図表1)

 これまでのメジャーリリースにおける拡張を振り返ると、2010年にリリースされたIBM i 7.1では、Db2 for iに列レベルの暗号化が提供され、列内の値を暗号化して保存できるようになった。

 また、Db2 for iにXMLのネイティブ・サポートが組み込まれ、XML文書の使用が可能になった。実行管理機能の拡張としては、ワークロード・キャッピングによりサブシステム内で使用するプロセッサ・コア数を制限してワークロードを管理することが実現している。

 IBM i 7.1から、メジャーリリースの間に提供可能になった新しい技術や、新しいハードウェアをサポートするための機能拡張が、「テクノロジーリフレッシュ」(Technology Refresh:以下、TR)として実装されるようになった。

  TRで追加された機能の例としては、Virtual Partition Manager(VPM)によるIBM iの仮想化や、イーサネット・レイヤ2ブリッジングのサポートなどが挙げられる。TRは年に2回、最新リリースとその1つ前のリリースに対して提供されている。

 2014年にリリースされたIBM i 7.2では、Db2 for iに行/列アクセス制御(RCAC)が提供された。行アクセスの認可や、列マスクによるアクセス制御によって、データベースのセキュリティ強化が図られた。

 また、フリーフォーマットRPGや、Python、Node.jsなどのオープンソース言語の提供により開発環境が強化され、IBM iの従来の基幹業務をモバイルなどの新しいインターフェースと連携させるためのアプリケーション開発に対応可能な環境が用意された。

 2016年にリリースされたIBM i 7.3では、テンポラル表によるタイム・トラベル照会、監査列によるレコード変更情報の自動記録、OLAP分析機能がDb2 for iに提供された。これらのDb2 for iの拡張により、データの時系列での推移を分析したり、誰がいつレコードを変更したのかといった、レコードの更新履歴を追跡したりすることが容易に行えるようになった。

 さらに、権限収集機能により、ユーザーがプログラムやデータをどのような権限でアクセスしているかの収集が可能になった(図表2)

 

基本サポートは今後も
約7年間提供され続ける

 そして最新のIBM i 7.4では、IBM Db2 Mirror for iによりデータベースの可用性の向上や、オブジェクトを基準とした権限収集、ジョブ記述単位のワークロード・キャッピングが可能になった。

 DXを推進するときには、より多くのデータを扱い分析することが不可欠となり、データの利用頻度はますます増加していく。IBM iもこのシステム要件を満たすべく、IBM i 7.4においてセキュリティと可用性の強化を行った。そして、今後もセキュリティと可用性の強化は続いていくと考えられる。

 このようにIBM iは、リリースアップによって時代の変革に対応し得る機能の向上を行うとともに、従来からのアプリケーションを活かしながら最新のテクノロジーを利用できるITインフラストラクチャとして進化を続けてきた。そして、次期リリース、さらに次のリリースへと、その進化は続いていく。

 IBM iサポートロードマップは、これまでのIBM iリリースのサポート期間およびサポート予定と、将来の2リリースについてのサポート予定を示したものである。IBM i 7.4の発表により、現行リリースがIBM i 7.4に更新されたサポートロードマップが提供された(図表3)

 サポートロードマップにより、IBM iの将来にわたる長期のサポートが示されている。また、メジャーリリースが2年から4年の間隔で提供されてきたことが示されている。

 サポートロードマップを見ると、これまでのリリースは基本サポートと延長サポートを合わせて約10年のサポートが提供されていたことがわかる。今後のリリースについても、基本サポートは約7年間提供されることが読み取れる。なお、図中の矢印は、特定の日付を示すものではない。

 

HDDからSSDへ
ハードウェアサポートの拡張

 IBM i 7.4では、4月23日に発表された新しいエンタープライズおよびメインストリームSSDをサポートする。ハードウェアの発表では、これらのSSDのほかにNVMeの新ドライブが発表され、新世代の、より大容量のドライブが提供されるようになった。一方、HDDの新製品の発表はなかった。これからのDXによる大量データの高速アクセスを見据えて、ドライブの主力はHDDからSSDへ移っていくと考えられる。

 また、これまでIBM iではサポートされていなかった10G、25G、100GのRoCE(Remote Direct Memory Access protocol over Converged Ethernet)対応Ethernetアダプタをサポートする。POWER9マシンでは、RoCEはSR-IOVでサポートされるので、複数のIBM i 区画でRoCEアダプタを共有できる。IBM i 7.4でのRoCEサポートは、IBM Db2 Mirror for iでの使用に対応するものである(図表4)

 そのほか、スケールアウト・モデルでは、ファームウェアFW930によって内蔵ディスク・バックプレーンがない構成をサポートする。これまでは、内蔵ディスクを搭載しない場合であっても、バックプレーンを構成する必要があった。

 IBM i 7.4では、POWER9サーバーのSMT8において、1区画あたりの最大コア数はIBM i 7.3 の96コアから192コアに拡張される。最大スレッド数は、1536となる。

 基本補助記憶域プール(ASP 1~32)の区画あたり最大ディスク・アーム数は、IBM i 7.3の2047から3999へ拡大される。

 また、最大LUNサイズは、IBM i 7.3の4TBから16TBへ拡大される。この最大LUNサイズの拡張により、IBM i 7.4では7.48TBメインストリームSSDがサポートされる(機械グループがP10以上の場合)。

 

NVMeサポートを
開発意向表明

 POWER9サーバーは、本体(CEC)専用スロットおよびPCIeアダプタでNVMeドライブを構成することが可能であるが、IBM iではネイティブ、VIOS経由のいずれの構成でもサポートされていなかった。IBM i 7.4は、NVMeドライブをネイティブでサポートする意向であることを表明している。

 今回のハードウェア新製品がSSD、NVMeドライブのみであったことと、NVMeサポートの開発意向表明から、IBM iにおいてもDX対応で求められる、より大量のデータを、より高速にアクセスするための、HDDからSSDへ、そしてNVMeへのシフトが始まったと考えられる。

三神 雅弘氏

1989年日本IBM入社、AS/400のテクニカル・サポートを担当。日本IBM システムズ・エンジニアリングへの出向を経て、2004年よりテックライン、2016年よりビジネス・パートナー向けテクニカル・サポート、2018年よりIBM iブランド業務を兼任している。

 

[i Magazine 2019 Autumn(2019年8月)掲載]

 

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三ヶ尻 裕貴子氏
日本アイ・ビー・エム株式会社
システム事業本部Power Systemsテクニカル・セールス 部長

PART 2 DXを見据えたメジャーリリース IBM i 7.4の到達
PART 3 アプリケーション開発機能の拡張・変更点
PART 4 超高可用性を実現するIBM Db2 Mirror for i
PART 5 SQL対応を大幅に拡大 Db2 for i関連の機能拡張
PART 6 SQLが簡単に使える機能を満載 ACS V1.1.8の強化ポイント
PART 7 Db2 for iのREST接続とオープンソース対応を拡充
PART 8 データのセキュリティを強化オブジェクトごとに権限設定が可能に

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