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生成AIは「主流まであと2~5年」の予測 ~ガートナーが日本版「インフラ・テクノロジのハイプ・サイクル:2023」発表

ガートナージャパンは8月17日、「日本における未来志向型インフラ・テクノロジのハイプ・サイクル:2023年」を発表した。

ガートナーの「ハイプ・サイクル」は、新たに登場したテクノロジーがどのような軌跡をたどって普及するかを示したもので、「黎明期」「『過度な期待』のピーク期」「幻滅期」「啓発期」「生産性の安定期」の5つのフェーズに分かれる。

ガートナーでは、「CIOやITリーダーをはじめとした企業の担当者が、イノベーションの成熟度と今後の可能性を追跡する支援となるよう」と、ハイプ・サイクル発表の目的を述べている。

今回は「未来志向型と捉えられるテクノロジやトレンド」として40項目を取り上げた。うち9項目は新規で、生成AI、分散型アイデンティティ、サステナビリティ管理ソリューション、デジタル免疫システム、LLM(大規模言語モデル)プラットフォーム・サービス、ホスト量子暗号、空間コンピューティング、量子機械学習、商用融合炉の9項目という。

今回、「『過度な期待』のピーク期」となったのは、8項目。うち★印の4項目が新規で、半数が入れ替わった。また「生成AI」と「ファウンデーション・モデル(NLP)」は過去のハイプ・サイクルに記載はなく、今回突如として登場した。「生成AI」のインパクトの大きさが映し出されていると言えそうである。

・スマートワークスペース
・デジタル倫理
・デジタル・ツイン
・ファウンデーション・モデル(NLP)★
・生成AI★
・コネクテッド・プロダクト
・分散アイデンティティ★
・People-Centric★

また、昨年の「『過度な期待』のピーク期」から姿を消したのは、以下の6項目。うち5項目は「幻滅期」へ移行し、「IoTエッジ・アナリシス」は項目自体が削除された。

・イマーシブ・エクスペリエンス
・NFT
・メタバース
・IoTエッジ・アナリシス
・量子コンピューティング
・Web3

日本における未来志向型インフラ・テクノロジのハイプ・サイクル:2022年 出典:Gartner (2022年9月)

日本における未来志向型インフラ・テクノロジのハイプ3・サイクル:2023年 出典:Gartner (2023年8月)

以下、「主流の採用まで」の期間別に今回のハイプ・サイクルをまとめ直した。

主流の採用まで2~5年

・人工知能
・ブロックチェーン
・次世代型リアル店舗
・NFT
・エッジAI
・スマート・ワークスペース
・生成AI
・衛星コンステレーション
・デジタル・ヒューマン
・汎用人工知能
・空間コンピューティング

「衛星コンステレーション」と「デジタル・ヒューマン」は昨年のハイプ・サイクルでは「主流の採用まで10年以上」だったが、今回は「2~5年」となった。技術的進展が大きく進んだ分野とみることができる。

主流の採用まで5~10年

・モノのインターネット
・メタバース
・スマート・ロボット
・イマーシブ・エクスペリエンス
・Web3
・NFT
・メタバース
・IoTエッジ・アナリシス
・量子コンピューティング
・デジタル倫理
・ファウンデーション・モデル(NLP)
・コネクテッド・プロダクト
・分散アイデンティティ
・People-Centric
・自律分散型組織
・サスティナビリティ管理ソリューション
・デジタル・メッシュ
・都市型エア・モビリティ
・振る舞いのインターネット
・新しいビジネス・アーキテクチャ
・6G
・月データセンター
・次世代型スマート・シティ
・ホスト量子暗号
・商用融合炉

以下は、昨年のハイプ・サイクル。

2022年の未来志向型インフラ・テクノロジのハイプ・サイクル

主流の採用まで2~5年

・ブロックチェーン
・ブロックチェーンによるトークン化
・人間中心のデザイン
・エッジ・コンピューティング
・IoTエッジ・アナリシス
・エッジAI

主流の採用まで5~10年

・人工知能
・モノのインターネット
・スマート・ロボット
・次世代型リアル店舗
・イマーシブ(没入型)・エクスペリエンス
・スマート・ワークスペース
・NFT
・デジタル・ツイン
・デジタル倫理
・コネクテッド・プロダクト
・Web3
・ファウンデーション・モデル
・People-Centric
・自律分散型組織
・都市型エア・モビリティ
・振る舞いのインターネット
・次世代型スマート・シティ
・ソフトウェア定義型自動車

主流の採用まで10年以上

・メタバース
・量子コンピューティング
・デジタル・メッシュ
・衛星コンステレーション
・新しいビジネス・アーキテクチャ
・デジタル・ヒューマン
・人間中心のAI
・月データセンター
・6G
・汎用人工知能
・量子エッジ・コンピューティング
・双方向ブレイン・マシン・インターフェース

今回新登場の「メタバース」は、8月10日発表のグローバル版「先進テクノロジのハイプ・サイクル:2022年」では「黎明期」に位置づけられていたが、日本版では「『過度な期待』のピーク期」と、一歩進んだ配置となった。これについてガートナージャパンは、「日本ではグローバルよりも早い段階で過度な期待が寄せられている。VRから派生した『デジタルのリアル化』の中でアバターを超えたデジタル・ヒューマンがリアリティになりつつある」と指摘している。

日本における未来志向型インフラ・テクノロジのハイプ・サイクル:2022年 出典:Gartner (2022年9月)
日本における未来志向型インフラ・テクノロジのハイプ・サイクル:2022年 出典:Gartner (2022年9月)

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