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IBM iつれづれ草|フリーフォームRPG!!(高橋昌宏)

はじめまして。高橋昌宏と申します。このたび、アイマガジンよりお声がけをしてもらい、コラムを書かせていただくことになりました。このようなコラムの経験はこれまでになく、お見苦しい点も多々あるかと思いますが、大目に見ていただければと思います。

まずは簡単に、自己紹介をいたします。

福岡県北九州市に生まれ、現在は福岡市に在住しています。年齢は49歳で来年で50歳を迎えます。仕事は約22年間、株式会社福岡情報ビジネスセンターで、IBM i(AS/400)の仕事を中心にやってきました。今年の春にソリューション・ラボ・横浜に転職し、IBM iの仕事を引き続き担当しています。

IBM iに関しては、いわゆるAS/400オタクみたいなもので、若いうちはずいぶんとマニアックなことをやっていました。

振り返ると、開発に必要なツールを自作して、そのときにAPIについて学びました。IBM i上でまだJavaが主流ではなかった時代(V5R4)にオープンソースのTomcatを導入して、JavaによるWebアプリケーション開発を行いました。これに気をよくして、当時話題だったRuby on RailsをIBM i上で稼働させようとチャレンジし、導入手順をiSUC福岡大会のセッションで発表したこともあります。そのほかにも、PHPとRPGのハイブリッドシステムを構築して、ILE RPGの素晴らしさを実感したこともありました。

ごく最近では、RESTful Web servicesを利用して、WebシステムとRPGとの連携を行いました。最近は役割が変わってきて、技術的なことはあまりできていませんが、技術はいつまでたっても面白いと思っています。

さて、自己紹介は以上として、このコラムでどのような内容を書いていくかをお話させていただきます。

このお話をいただいてから、どのようなことを書いたらいいのか? としばらくの間考えをめぐらせました。その結果、自分の持っている知識で今までお世話になった業界に少しでも恩返しするようなことができたらいいな、と思うようになりました。

というのも、IBM i(AS/400)はレガシーだとか、古臭いオフコンだとか、そういった声を耳にすると、とても悲しい気持ちになるからです。サーバーやOSは進化し続けているのに、その機能を十分に生かしきれてない、使う側がもっと知識を得て機能を十二分に活用すれば、もっとIBM iの評価は上がるはずだ、と思えるからです。

そのためには、もっと技術的な情報が必要です。私が今までに培ってきた知識をお伝えすることで少しでもお役に立てれば、それ以上にうれしいことはありません。そこで当コラムでは技術的な部分を中心として、IBM i関連について思うことを自由に書かせていただこうと思っています。

最近、IBM iの将来が不安だ、これから先も続けていいのか? といった話を聞くことが増えたように思えます。そこには、RPG技術者の不足の問題が見え隠れしています。

先日、あるお客様からも、この問題に関連するご相談をいただきました。そしてその会話の中で「フリーフォームRPG」が話題になりました。私はフリーフォームRPGについてはさほど魅力を感じていなくて、C言語のようなスタイルを取ったとしてもメリットは少ないだろうと思っていました。しかし会話を続ける中で、フリーフォームRPGがRPG技術者の不足を解消する1つの有効な手段になり得ると感じられたのです。

RPG技術者の不足に対する処方箋は、新人に対するRPG教育のやり方と他言語技術者の活用が主なものだろうと思います。

新人にRPG開発(ここでは5250によるRPG Ⅲ開発)をやってもらうと、同期がWeb系(PHP、Javaなど)をやっている場合、どうしても古臭いことをやらされている、かっこ悪い、といった負のイメージを新人は持ちがちで、下手をすれば退職の要因にもなりかねません。

一方、オープン系の技術者をRPG技術者として活用するのは、もっとハードルが高くなります。まず開発のエディターが大きく違いすぎます。Eclipseと5250エディターは似ても似つかぬものです。Z-ADDやMOVELも、オープン系の人たちには馴染みのないもので、そもそも記述する場所が決まっているということ自体がものすごい違和感だと思います。SETLL、READE、CHAINといったDBのアクセスも、SQLが基本のオープン系には未知の領域です。

このような問題をフリーフォームRPGが諸問題を解決してくれます。エディターがEclipseベースのRDiになることで、新人が感じる「古臭い」「かっこ悪い」といった印象が解消され、オープン系技術者にとっては使い慣れたエディターで開発が可能となります。構文に大きな違いはなくSQLの知識もそのまま使えるので、RPG言語による開発にスムーズ入れるように思えます。

新人の場合は、RPG Ⅲを学んでも先々の潰しが効かないといった不安があるかもしれません。それは、独自なコーディングであるため、将来的に他言語への移行ができないという不安です。

JavaとPHPとVB系には言語として違いがありますが、似ている部分も多くあります。そしてRPGがフリーフォーマットになると、これらオープン言語への仲間入りができるのです。そのことに大きな意味があり、それによって「RPG技術者」といった独特の立ち位置がなくなり、新人の不安が消え、オープン技術者の活用が可能となり、技術者不足問題の解決へとつながっていくように思えます。

しかし、一点不満なのが、オープン言語にここまで近づいているのに、IBM iのUIが依然として5250しかないということです。メーカーが正式にWeb化することはないのでしょうか? もったいないですよね?

社内で「フリーフォームRPG」の勉強会とお客様向けの教育サービスを開始しています。また新しい気づきを得たら、フリーフォームRPGについて書いてみたいと思っています。

[i Magazine・IS magazine]

 


IBM iつれづれ草

第1回 フリーフォームRPG!!
第2回 SQLをお勧めする4つの理由
第3回 SQLの検索アドバイザー

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