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ISE Showroomで最先端テクノロジーを体験・実感 ~AI・RPA・ブロックチェーン・AR・DevOps・セキュリティ

 

 日本アイ・ビー・エム システムズ・エンジニアリング(以下、ISE)の「ISE Showroom」。IBMユーザー研究会が主催した昨年秋のイベント「iSUC 別府大会」で初めて登場し、自らの手や耳や身体を使って体験する、いわゆる「体験型デモ」として来場者から大きな人気を集めた。

 iSUCから名称を変更し、2018年11月に札幌で開催される「NEXT 2018」でも、ISE Showroomが登場する。今年4月にIBM幕張事業所で開催された「ISE Technical Conference 2018」での展示から厳選されたデモに新規デモを追加し9テーマ、11ブースを出展。最先端のテクノロジーを体験できる展示内容をここで紹介しよう。

 

AIとロボットを活用した
業務プロセス改善

 申請・承認プロセスをビジネスプロセス管理基盤上に実装し、RPAやスマートスピーカーと連携した交通費精算システムを実現する(図表1)

 申請者はWatson Assistantによるチャットボットで交通費申請フォームを選択し、スマートデバイスから申請する。それをもとにRPAが、インターネットから最新・最安値の交通費を算出し、基幹システムに自動入力する。

 承認者はスマートスピーカーと会話しながら、それに関する承認タスクの確認や承認の可否を入力する仕組み。メディアで取り上げられるRPAの実現イメージを、身近な業務として理解できるデモになっている。

 

ブロックチェーンによる
サプライチェーンの可視化

 日本酒の製造・流通に関する情報をブロックチェーンで管理するプロセスを、ジオラマ仕立てで展示する(図表2)。Raspberry Piを各拠点のノードに見立て、Hyperledger Fabricのネットワークを構成する。ブロックチェーン上のイベントをLEDで可視化しているので、流れが理解しやすい。製造・流通だけでなく、拠点間移動データやIoTデバイスからの保管温度異常など、各フェーズでのイベントデータも台帳で共有してトレースできる。

 ブロックチェーンで管理することで、サプライヤーだけでなく、消費者もデータを可視化できるほか、消費者からメーカー(酒蔵)への情報のフィードバックも可能となる。金融で取り上げられることが多いブロックチェーンだが、その活用範囲の広さをイメージできるデモになっている。

 

機械学習による
人物の内部状態と動作の推定

 来場者がデジタルカメラに顔を向けると、画像解析と機械学習により表情や反応、属性を判別する(図表3)。オープンソースのTensorFlowやOpenCVを使用し、顔領域の検出や顔の認識、表情・性別・年齢を推定したり、顔の位置や頭部の姿勢・動作などを検出している。商品やサービスに対する顧客の反応や人物属性を活用した新しいマーケティング施策に展開できると期待されている。同じ技術を用いて、自動車ドライバーや工作機械オペレータなどの状態を推定し、自動車事故や労働災害の未然防止などにも役立つと考えられている。

 

[図表3]機械学習により人物の表情や属性を判断

 

画像認識による
作業者分析ソリューション

 定点カメラで撮影したPCの組み立て生産ラインの工程画像を認識し、作業員の作業進捗や内容を判定するデモの様子を映像で流す(図表4)。今、どの工程でどのような作業を、どの順番で行っているかが判定できる。これにより拠点間や作業者間の作業内容の比較、あるいは作業者自身の時間帯ごとの作業効率、もしくは不具合や不良が起こりやすい工程を把握することが可能になる。

 作業者にとっては、リアルタイムに動作を判定し、作業順序が間違っている場合にアラートで警告するなどの利用が可能となる。管理者にとっては、作業内容の履歴をダッシュボードで確認し、作業進捗を管理できる。

 

[図表4]PCの組み立て生産ラインを分析

 

Watson Discoveryを利用した
ナレッジ検索

 Watson Discoveryにより、自社のナレッジである大量のテキストデータから最適な回答を探し、回答精度を高める学習のプロセスを紹介する。

 ここではサンプルとして映画の概要と視聴者のコメントを分析し、映画に対して問い合わせを行うサンプルアプリケーションを紹介する。映画の概要をコーパスとして見たい映画を検索し、かつ視聴者のコメントから感動的であったか、面白かったかなどをWatsonの分析により導き出す。同様のデモを本のコーパスでも紹介する。

 

VRによるドローン操作

 ユーザーがゴーグルを付けた状態で、ハンドジェスチャーによりドローンを操作する。ゴーグルにセンサが搭載されているので、両手を前後・上下に動かすハンドジェスチャーが操縦桿の役割を果たす。ゴーグルには、ドローンに搭載されたカメラで撮影しているリアルタイムな配信動画が表示されるのに加え、バーチャルな視覚情報を重ねた映像も映し出されており、ゲーム感覚でドローンを操作できる。

 

Design Thinkingで生まれた
「孫とのコミュニケーション・ツール with AIスピーカー」

 スマホとAIスピーカー、IBM Cloudを使って、孫とのコミュニケーションを実現するツールである。孫がスマートフォンで近況を音声、テキスト、写真により投稿。祖父母がAIスピーカーに話しかけると、この孫ニュースを音声で再生し、同時に傍らのタブレットで写真を表示する。孫へのコメントをフィードバックすることも可能である(図表5、図表6)。AIスピーカーを利用することで、年齢によるITリテラシーの壁を乗り越えるユーザーインターフェースが実現している。

 ツールの紹介と同時に、このツールがISE内のDesign Thinkingからどのように生まれたのか、その取り組みと発想のプロセスを紹介する。

 

[図表5]孫とのコミュニケーション・ツール

 

 

Watson Assistant for
Automotiveのデモ

 ドライバーが運転中に車の調子が悪いと感じたら、「異常ボタン」をクリックする。すると、Watson Assistant for Automotiveがドライバーとのヒアリングを開始し、対話型でトラブルの状況を聞き出していく。実際の問題判別はディーラーが実施することになるが、事前にこうして不具合の状況がレポートされているので、これにOBDⅡコネクタから送信された車両のセンサ情報を加えることで、ディーラーは迅速かつ的確にトラブルに対処できる。その仕組みをデモで紹介する。

 

コンテナ・プラットフォーム向け
DevOpsソリューション

 Docker/Kubernetesによるコンテナ基盤向けのアプリケーション開発自動化ためのソリューションを紹介する。

 IBM Cloud Private(以下、ICP)およびMicroclimateというソリューションを使用して、プライベートクラウド上に開発環境、ビルド環境、コンテナベースのアプリケーション実行環境を容易に構築することが可能である。また、アプリケーションのソースコードのコミットをトリガーとして、コンテナイメージがビルドされ、ICP上でアプリケーションが稼働するまでのプロセスがパイプラインとして自動で処理される様子をデモで紹介する。

 

セキュリティ運用の自動化

 クラウドサービスの採用に際して、セキュリティに関して実施すべき多岐にわたる設定を限られた予算内で実施し、リスクを低減できる、中小規模向けのキュリティオートメ?ションの概要を紹介する(図表7)。セキュリティ設定・テスト自動化ツールをはじめ、脆弱性スキャンツール、ログ解析自動化ツール、ID検証自動化ツールなどを利用し、セキュリティ運用の自動化を実現する。

 

ARを使った
Showroomデモ

 ARを使って、Showroomの展示内容を説明する。あらかじめ用意されたARデバイス(タブレットなど)を、展示の各コーナーに置かれたマーカー(2次元バーコードのような印刷物)にかざしてカメラで読み取る。するとARデバイス越しにアバターが登場し、テキストの吹き出し、音声、動画、PowerPointのスライドなどが表示・再生されて、個々の展示内容を解説する。

*本イベントは11月9日終了しました。

[i Magazine 2018 Winter(2018年11月)掲載]

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