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IBM i 開発ツールエンジニアの雑記帳|3つのツールの使い分けのポイント(2)(尾崎 浩司)

 

皆様こんにちは。株式会社ミガロ.の尾崎です。前回は、当社が提供する3つの開発ツールの概要と、IBM iシステム刷新のアプローチについてお話しました。今回は、前回の続きとして、当社の3つの開発ツールについて、それぞれどういった基準で選定すればよいのかをポイントにお話ししたいと思います。

 

各開発ツール(Valence、SP4i、Delphi/400)選定のポイント

当社が取り扱う3つの開発ツール(Valence、SP4i、Delphi/400)の特徴を前回お話しましたが、あらためて下記のように整理してみました(図表1)。

 

いずれの開発ツールも、皆様お使いのIBM iをそのまま活用しながら、GUI化/Web化あるいはモバイル対応といったアプリケーションのモダナイゼーションが行えるというのは、全製品共通なのですが、作成できる機能や種類、開発手法は、それぞれの製品で異なっています。そこで今回、各製品の主な特徴を比較表にしてみました(図表2)。

 

この比較表を使用しながら、各製品の選定の参考になるようポイントをお話しします。

まず、作成できるアプリの種類ですが、いずれの製品においても、Webアプリの開発、モバイルアプリの開発の両方に対応しています。

モバイルアプリ開発においては、ValenceおよびSP4iが、AndroidやiOSのアプリストア(Google PlayやApp Store)からダウンロードした専用アプリを通して開発したプログラムを実行する形態(ハイブリッドアプリ)であるのに対し、Delphi/400では完全独自のネイティブアプリを開発することが可能です。Delphi/400で開発したモバイルアプリであれば、社内使用に限定したクローズドなアプリ展開だけでなく、広く一般向けに活用するようなアプリストア向けに配信可能なアプリ開発も行えます。

次に、社内でIBM iを使用しつつも他のオープン系DB(OracleやSQL Serverなど)も併用しており、それらのデータも一緒に活用したい場合です。

この場合はValenceかDelphi/400が最適です。Valenceはオープン系DBに対してはデータの参照のみとなるため、IBM i上に保管されていない情報の参照やBIツール的な用途が主になりますが、Delphi/400はデータの更新も含めたフルアクセスに対応しますので、データ連携などの仕組みを構築する場合にも適しています。 

近年、社内業務においても多彩なクラウドサービスを利用することが多いと思いますが、これらのサービスとIBM iとの連携も可能です。

Valenceは、簡単な設定だけでGoogle Mapを活用し、IBM i上にある住所情報をもとに、地図を表示させることができます。Delphi/400では200を超えるクラウドサービスとの連携機能が用意されています。SalesforceやkintoneといったSFAツールから、FacebookやTwitterといったSNSツールまで、多彩なクラウドサービスへの連携処理を実現できます。連携可能なサービス一覧は、https://www.cdata.com/jp/firedac/ に記載がありますので、興味がある方は確認してみてください。またSP4iは、ツール的にはクラウドサービスとの連携対応を謳っていませんがJavaScriptを活用できるので、Google Mapとの連携やGoogle chart APIを活用したグラフ表示などの仕組みを構築できます。各製品におけるクラウドサービスやWebAPIとの連携については、後日このコラムで詳細をご紹介したいと思います。

次に開発手法について確認していきます。

Valenceはローコード開発が最大の特徴となっています。ウィジェットと呼ばれる部品をウィザードで設定するだけでアプリが作成でき、Valenceの使用法だけ習得すれば、容易にすばやくアプリを開発することが可能です。ツールの設定だけで画面を作成できるため、作成者のスキルなどに依存せず、均一な品質のアプリが作成できます。

SP4iは、IBM i技術者が有するRPG/COBOLスキルを使用して開発します。つまり、既存のスキルをそのまま活かしてWeb化できるのが最大の特徴です。画面作成には、HTMLを使用しますのでHTMLを習得する必要がありますが、一般的なホームページ作成と同様にHTMLエディタをそのまま使用できるので、容易に画面レイアウトを作成できます。HTMLを使用して独自な画面が作成できる分、あらかじめ用意されたウィジェット(部品)を組み合わせて作成するValenceよりも、開発自由度は高いと言えます。

Delphi/400は、前回もお話した通り、オープン系アプリ開発ツールであるDelphiを使用して開発を行います。Web化だけではなく、デスクトップアプリやモバイルアプリなど多彩な形式のアプリ開発に対応し、最も開発自由度の高い開発環境と言えます。ただし、アプリ開発には、Delphiが採用するObject Pascalという言語の習得が必要となります。これはVBやJavaなどオープン系開発の経験者であれば比較的容易に習得できると思いますが、初めての方は不安に思われるかもしれません。当社では、このDelphiスキルを1から習得できるトレーニングコースをご用意しています。これまでRPG/COBOLをメインに開発してきた技術者にもご利用いただいて好評ですので、ご安心ください。

 

まとめ

今回は、当社が提供する3つの開発ツールの主な機能や開発手法など、どのような特徴や違いがあるのかをご紹介しました。IBM iシステムの刷新をご検討中の皆様が、開発ツールを選定する際の参考になれば幸いです。

次回からは、各開発ツールの技術的なトピックスや最新情報などを、順次ご紹介していきます。どうぞご期待ください。

 


IBM i 開発ツールエンジニアの雑記帳

第1回 3つのツールの使い分けのポイント(1)
第2回 3つのツールの使い分けのポイント(2)

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