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Power & IBM i市場 2022年の8大ニュース ~Power10のラインナップ拡大、IBM i 7.4とMerlinの発表、サブスクリプション開始、.NET 7やAnsibleのサポートなど

動乱の2022年も、まもなく終わろうとしている。IBM iユーザーにとっての今年は、Merlin、IBM i 7.5、Power10サーバーなど、次世代の開発・運用の礎となる新たなプラットフォームが登場した年であった。

i Magazineが2022年に掲載したPower & IBM i関連のニュースから、大きなインパクトを与える8つのトピックスを振り返る。

1 Power10ファミリーの7機種が登場 ~ハイエンドからミッドレンジ、エントリーまでラインナップが出揃う

IBMは7月、Power10を搭載したスケールアウト・モデル6機種とミッドレンジ・モデル1機種が発表された。昨年9月発表にいち早く発表されたハイエンドモデルのPower E1080を含めて、ミッドレンジからエントリーまで、Power10ファミリーが出揃うことになった。

Power10は、2017年に発表された前世代のPower9に比較すると、半導体の集積度を大幅に向上(トランジスタ数で2.25倍)。帯域幅の広い画期的なメモリインターフェースを搭載することで、大量データの処理を容易にした。さらにインコアAI推論機能や透過的メモリ暗号化などの搭載によってAIの活用を身近にし、安全性をさらに高めたプロセッサとなっている。処理性能も、CPW値ではPower9の1.6倍、Power8の2.3倍に高速化している。

2 IBM i 7.5を発表 ~セキュリティ・レベル20の廃止などユーザーのレベルアップを促進

IBMは5月、IBM i(OS)の3年ぶりのメジャー・バージョンアップとなるIBM i 7.5とIBM i 7.4 TR6を発表した。セキュリティ・レベル20の廃止などユーザーのレベルアップを促す数々の新機能が盛り込まれた。

IBMではIBM i 7.5の開発の狙い以下のように挙げている。

・最新のPowerテクノロジーの活用
・ユーザーに新しい価値をもたらすモバイル、IoT、AI、機械学習ソリューションへのスムーズな対応・移行
・外部サービス、ハイブリッドクラウド、DevOpsを利用するモダナイゼーションへの対応
・オープンソース技術などの採用によるIBM iソリューションの成長
・オープンな言語・ツールの採用による新しい人材の取り込み
・ビジネスデータに対する卓越したセキュリティ/レジリエンシー
・IBMのシステム/ストレージ/ソフトウェア技術の活用

3 IBM i Merlinを発表 ~DevOpsとCI/CDツールをセットしたIBM iモダナイゼーション用統合開発環境

IBMは5月、IBM i OSの新バージョン「IBM i 7.5」やIBM i 7.4 TR6などの発表と同時に、「IBM i Merlin(マーリン)」と呼ばれる新しいIBM i用統合開発環境を発表した。

DevOpsやCI/CDのためのツールをセットしたWebブラウザで利用可能な統合開発環境で、レガシアプリケーションのモダナイゼーションや新しいIBM iアプリケーションの開発に大きな影響を与えると期待されての登場である。

発表当初はDevOps、IDE、IBM i Connectionsの3つの機能を搭載し、その後、10月にデバッグ機能を追加搭載した。

また7月には、IBM i 7.5、7.4に加えて、7.3もサポートすることを発表している。

4 IBM Powerをサブスクリプションで提供開始 ~5月にPower9サーバー、9月にPower10サーバーに適用

日本IBMは9月、Power S1014のサブスクリプション提供を発表した。2022年5月にP05のPower S914(4コア)を対象とするサブスクリプションを発表しているが、Power10サーバーを対象とするサブスクリプションは初めて。

サブスクリプションとして提供されるリソースは、Power S1014の4コア(P05)マシン、64GBメモリ、800GBのNVMeディスクが2台という内容である。また、サブスクリプション期間4年の「9671-PA4」(ラックマウント型)向けには、オプションとして、システム拡張のためのI/Oアダプターや2ポートのUSB接続、暗号化プロセッサ、ファイバーチャネル、NVMe、バックアップ用RDXなどが用意されている。

5 IBM Powerで.NET 7を正式サポート ~IBM iやAIXと同一のPower上で稼働

Red Hatは11月、IBM Power上のRHEL8.7、同9.1およびRed Hat OpenShift環境で.NETバージョン7(.NET 7)が利用可能になった、と発表した。

今回のサポートにより、IBM i(またはAIX)アプリケーションが稼働するPower上で.NETアプリケーションを運用できるようになり、「.NETアプリケーションをPower上のIBM i(AIX)データに近づけることが可能になった」としている。

6 AnsibleがIBM i・AIXなどに対応  ~「Ansible Automation Platform for Power」をIBMが発表

IBMは2月、Ansible をIBM iやAIXなどが稼働するIBM Powerに対応させる「Ansible Automation Platform for Power」を発表した。

Ansibleは、OSやソフトウェアの設定管理や構成管理を自動化するツール。LinuxやWindows環境では標準的な構成管理ツールとして利用されてきたが、今回の「Ansible Automation Platform for Power」により、Power上で稼働するIBM i、AIX、Linux、VIOS、HMC(Hardware Management Console)および、それらの上で稼働する各種ソフトウェアの管理が可能になった。

7 Power8サーバーが保守サービス終了へ ~Power S814は2024年5月31日、S822・S824は同3月31日にEOS

IBMは11月、Power8サーバーの保守サービス終了日を発表した。

S814が2024年5月31日、S822およびS824が同3月31日、S850C以上が同10月31日と、3種類の保守サービス終了日が設定されている。

Power8ユーザーは今後、IBMの延長保守サービスの利用や、第3者保守の選択、Power10サーバーへの移行などの検討が必要になる。またPower10サーバーへ移行する場合は、IBM i 7.4または7.5へOSバージョンを上げる必要もある。

8 IBM i 7.3のサポート終了を発表 ~EOSは2023年9月30日

IBMは9月、IBM i 7.3のサポート終了日を発表した。また同時に、多数のIBM iユーザー向けライセンス・プログラムのサポート終了日も発表した。

IBM i 7.3は、2023年9月30日にサポート(プログラム・サービス)が終了する。IBM i 7.3は2016年4月15日に出荷されたので、約7年半にわたるサポートということになる。IBM i 7.3のユーザーは、7.4または7.5への移行が必要になる。

 

◎Power8サーバーが保守サービス終了へ、IBMが発表 ~Power S814は2024年5月31日、S822・S824は同3月31日にEOS

◎IBM i 7.5発表、セキュリティ・レベル20の廃止などユーザーのレベルアップを促進、大量の新機能、Power9/10で稼働 ~IBM i 7.4 TR6も同時発表

◎IBM i Merlinを発表、DevOps・CI/CDツールをセットしたIBM iモダナイゼーション用統合開発環境、Webブラウザで利用 ~IBM iネイティブ機能のRESTful API化も容易

◎Power S1014のサブスクリプション、日本IBMがオンプレミスで提供開始 ~プロセッサ、IBM i(OS)に加えて、メモリ、ディスクを提供

◎IBM Powerで.NET 7を正式サポート、IBM i・AIXと同一Power上で稼働 ~「新しいワークロードへの期待が高まる」とIBM

◎AnsibleがIBM i・AIXなどに対応、システム設定・構成管理を自動化 ~「Ansible Automation Platform for Power」をIBMが発表

◎Power8サーバーが保守サービス終了へ、IBMが発表 ~Power S814は2024年5月31日、S822・S824は同3月31日にEOS

◎IBM i 7.3のサポート終了は、2023年9月30日 ~IBMが発表。IBM i向けライセンス・プログラムも多数、サポート終了へ

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