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システム再構築により紙・Excelの運用を廃止して業務標準化を実現、属人化も解消 ~VL Webを採用し、Webベースのシステムを開発|タキガワ・コーポレーション・ジャパン株式会社

タキガワ・コーポレーション・ジャパン株式会社

本社:千葉県船橋市
創業:1907(明治40)年
創立:1951年
資本金:9000万円
売上高:100億円(2024年3月期)
従業員数:310名(2024年9月)
事業内容:フレキシブル・パッケージの企画、製造、販売
https://www.takigawa-corp.com/

 

新しい商品への注文が急増
担当者の努力に頼る運用に限界 

タキガワ・コーポレーション・ジャパンは、フレキシブル・パッケージの企画・製造・販売を行うメーカーである。フレキシブル・パッケージとは、食品や化粧品、洗剤などの容器・袋として使用される、フィルムなどの柔軟性の高い素材でできた包装製品のこと。同社は、その素材となる各種プラスチック・フィルムの製造からパッケージのデザイン、製袋までを一貫して行うメーカーだ。最近では、環境負荷を軽減する次世代型パッケージの開発・製造などでも広く知られる。

管理本部 情報システム部次長の宮川和郎氏は、「当社の社名をご存じなくても、当社の製品で包装された食品や化粧品はどなたもお使いになったことがあるはず」と、同社製品の広い普及について話す。

製品の製造は従来、注文の内容に応じて生産計画システムが工程ごとに必要な情報をアウトプットしてくるので(素材の選択、印刷、ラミネーション、熟成・スリット、製袋の5つの工程がある)、担当者はそれをもとに原紙を発注したり製造機械の割り振りなどを行ってきた。

近年、新しい形態の商品への注文が急増している。それに対しては担当者らの知見と努力に頼って、いわば人力ベースの運用で対応してきたが、「その対応にももはや限界がきていました」と、宮川氏は振り返る。

宮川 和郎

管理本部
情報システム部
次長

新しいシステムの導入にあたって、同社では現状の課題を以下のように整理した。

・新しい形態の商品に運用で対応している
・製品の種類が非常に多い
・紙やExcelでの運用が多い
・業務の属人化

同社は1960年代からIBMミッドレンジ機のユーザーで、1993年にAS/400を導入してからはIBM iを更新しつつ使い続けてきた。

「IBM iはハードウェアを更改してもその上の業務システムはそのまま動いてしまうので、抜本的な改築をせずに改修を繰り返すことで業務ニーズに対応してきました。しかしそれも限界にきていると考え、システムの再構築を決断しました」と、宮川氏はシステム化の背景を語る。

図表1 従来のシステム構成イメージ
図表1 従来のシステム構成イメージ

3つの再構築方法を検討し
VL Webによる新規開発を選択 

システム再構築の方法として検討したのは、製造業向け業務パッケージ、ローコード開発ツールによる再構築、ランサ・ジャパンの開発ツール「VL Web」による再構築の3つだった。

選択したのはVL Web。その理由を宮川氏は次のように話す。

「製造業向け業務パッケージはアメリカ工場で実績がありましたが、その導入が成功したのは工場の立ち上げ時で製造プロセスをパッケージに合わせることができたからで、高度な製造方法が定着している日本への導入ではパッケージの大幅なカスタマイズが必要になると考え、断念しました。ローコード開発ツールは標準機能でできることに限界があり、現場のニーズを満たすには難しい作り込みが不可欠になるため、候補から落としました。VL Webは、Web対応であること、開発期間の短縮が可能なこと、IBM i上で稼働実績があることを評価して採用を決めました。また開発を支援してくれる株式会社アイネットを紹介してもらえたことも大きな要因でした」

2020年11月にVL Webの採用を決定。翌2021年8月から本格的な打ち合わせと開発がスタートし、2023年10月に受注から製造計画までの第1次システムが完成した。現在は2025年10月のカットオーバーへ向けて第2次システムの開発が進行中である。第2次では製造実績や販売管理、在庫管理のシステム化が実現するという。

従来のシステムはRPG Ⅲで手組みしたものだった。VL Webによる新システムは、次のように開発した。

まず課題の「新しい形態の商品に運用で対応している」については、商品の形態をマスター化することで新しい形態の注文が増えても少ない工数で対応できるようにした。

次の「製品の種類が非常に多い」「紙やExcelでの運用が多い」という課題に対しては、全種類の製品を1画面で確認できるようにし、折り畳みや非表示を多用して視認性と使いやすさを実現した。また、Web化することによってタブレットでも使えるようにし紙による運用を廃止した。「業務の属人化」も一連の作業をシステム化・自動化し標準化することにより解消した。

今回のシステム化は、従来、ノーツやExcel、Windowsなどで運用していた機能をIBM i上に統合する側面ももっている。

「IBM i上に統合・集約することでシステム全体の運用工数を削減し、今後の改修や開発を容易にする狙いです」と宮川氏は言い、次のように続ける。

「当社は従来、ノーツで基幹システムと連携する社内情報共有システムやワークフローを構築してきましたが、ノーツのバージョンが古いため刷新が必要になっていました。今後はノーツで開発したシステムをVL Webで作り替え、IBM i上に統合する計画です。これにより全社のシステムをよりシンプルに、より容易に構築できると考えています」

図表2 再構築後システム構成イメージ
図表2 再構築後システム構成イメージ

[i Magazine 2025 Summer掲載]

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