
日本IBM主催の若手技術者コミュニティ「IBM i RiSING」(以下、RiSING)。昨年その同じチームで活動した3名のメンバーが再会した。
IBM iのコミュニティ参加、人脈づくりの重要性、情報をキャッチするアンテナの立て方など、RiSINGの経験をベースに話し合う。
(左から)
若梅 秀美氏
株式会社アイエステクノポート
ソリューション営業部 兼 広報・マーケティング担当
鈴木 奈津美氏
株式会社ベルーナ
情報システム本部 IT企画室
須藤 弘樹氏
株式会社ヤマタネシステムソリューションズ
第1事業本部 ソリューションサービス部 ソリューショングループ 主任
RiSINGの同じチームで活動した
3人のメンバーが集まる
i Magazine(以下、i Mag) まず皆さんの自己紹介から始めましょう。
鈴木 私は総合通販会社であるベルーナに入社して4年目、IBM iの担当になってから2年ちょっとです。もともと専門学校で、Javaをはじめいろいろな開発言語を使ったプログラミング手法を学び、それから入社しました。いまはIBM i上でCOBOLにより開発された基幹システムの保守を担当しています。当社はメインフレームからIBM iへ移行しているのですが、初めてメインフレームやIBM iの画面を見たときは、専門学校で学んでいた開発言語のイメージとかなり違うので驚きました。慣れるまで6カ月ほどかかりました。
須藤 ヤマタネグループのIT子会社であるヤマタネシステムソリューションズに入社して13年目、IBM iを担当したのは通算で10年ぐらいです。私の仕事はお客様先に常駐することが大半で、IBM iをお使いのお客様もいれば、オープン環境で運用されているお客様もおられます。比較的長かった2社目のお客様がIBM iのユーザーで、そこでRPGとLANSAを覚えました。扱える言語はその2つに加え、Microsoft Access、VBA、COBOL、SQLなどです。私は学生時代にやはりITを学んでいますが、入社して初めてIBM iの画面を見たときも、あまり違和感はなかったです。「こんなものかな」という感じでした。IBM iかどうかを問わず、覚えるべき技術の習得に必死で、IBM iの5250画面がほかと異なるといったことに、まったく意識が向きませんでした。
若梅 私はプリンティングソリューションを筆頭に各種IBM iソリューションを提供しているアイエステクノポートというベンダーに、昨年入社しました。IBM iに関わり始めてから2年目なのですが、実は転職組で、社会人としての経験は結構長いです。最初の会社はオープン系のITベンダーで、そこでは開発者としてJava、VBA、VB.NET、SQL、COBOLなどを学びました。3年ちょっと勤めたあと、今度はITとは関係のない接客業の仕事をしました。チョコレートをデパートで売っていたこともあります(笑)。そうした時期を経て、昨年アイエステクノポートに入社し、現在はソリューション営業 兼 広報とマーケティングを担当しています。
i Mag 今回は昨年、日本IBMが主催するIBM iの若手技術者コミュニティ「IBM i RiSING(ライジング)」に参加された皆さんにお集まりいただきました。皆さんはRiSINGのなかのFチームで、「VSCodeを使用したFFRPGの開発」をテーマに、一緒に活動されたのですね。このRiSINGに参加することになった経緯を教えてください。
鈴木 会社の上司にあたる部門長から、「RiSINGというのがあるから、参加しないか」と言われ、大喜びで参加を決めました。会社で仕事をしている限り、なかなかIBM iの業務に携わっているほかの会社の人たちと交流する機会がありません。また、IBM iに関する知識やスキルも不足しているという自覚があったので、RiSINGに参加できるのはとてもよい機会で、刺激になるとも思いました。

須藤 私の場合は自社ではなく、常駐先であるお客様の会社の責任者の方から、RiSINGへの参加について声をかけていただきました。通常なら自社の社員に声をかけるところ、常駐している外部ベンダーの自分にお声がけいただいたのは、とても嬉しかったです。不安な部分も少しありましたが、でもいざ参加してみると、業種間を越えた繋がりであったりとか、天城での成果発表など貴重な経験をする機会があり、参加してよかったと強く思いました。
若梅 私はソリューション営業を担当していますが、お客様である情報システム部門の方々にソリューションを説明する際、どうしてもIBM iやRPGを話題にやり取りする機会が多く、自分の勉強不足を感じていました。そこでQiitaの記事を読んだり、日本IBMのリスキリングカレッジに参加したりと、学べる場を求めていました。
RiSINGの存在もそんな中で知ったのですが、自分は(今は)技術者ではないし、参加していいのか迷っていたところ、日本IBMの担当者とお話しする機会がありました。そこで営業やマーケティング担当の方も参加しているし、実際に手を動かすことになるけれど、以前に技術者の経験があるなら問題ないことがわかり、少し遅れて6月ころに参加することになりました。その時はもうテーマが決まり、研究が進んでいました。
RiSINGの進め方
天城ホームステッドでの停電の思い出
i Mag RiSINGでは、誰がどのチームに入るかというチーム割りは日本IBMが決め、研究するテーマはそれぞれのチームで話し合うという進め方ですね。
須藤 そうです。RiSINGは2月にキックオフで、私たちのチームはそこから9月まで平均して週1回、合計15回、オンラインミーティングで顔を合わせました。6名のメンバーに、日本IBMの方が1人、アドバイザーとなるので、合計7名のチームですね。最初のキックオフと中間発表、10月の天城ホームステッドでの成果発表、そして研究の途中で日本IBMの箱崎事業所に集まった1回と、合計4回はリアルに顔を合わせています。

鈴木 「VSCodeを使用したFFRPGの開発」にテーマを決めた理由は、まずFチームに参加した当初の5人全員が、Visual Studio Code(以下、VSCode)の利用経験がある、もしくはこれから利用する予定があるといったように、VSCodeに関心をもっていたことが挙げられます。それではVSCodeで何をしようかと皆で考えた結果、VSCodeではFFRPGの開発ができるので、それをテーマにしようと決めました。
須藤 まず6月ぐらいまで、VSCodeを使ってRPG ⅣのソースをFFRPGへ変換する作業を皆で検証しました。若梅さんが合流したのは、この検証を終える寸前ぐらいのタイミングでしたね。
若梅 そうでした。それから6名のチームを3名ずつ2つに分け、一方は「FFRPGのデバッグ」、もう一方は「Code for IBM iを使ってDb2 for iに接続する際のポイント」をテーマに研究を続けました。
鈴木 RiSINGでは、Qiitaへの記事投稿と天城ホームステッドでの成果発表が大きな目標になります。どのテーマも皆で原稿を書き、誰か1人が担当になってQiitaに記事を投稿しました。天城ホームステッドには6名全員で参加しました。
須藤 天城ホームステッドでの停電は、とても強烈な思い出です。台風の影響で、天城一帯が停電して、非常灯も消えてしまいました。うちのチームは全員がリアル参加でしたが、他チームにはオンラインで参加しているメンバーもおり、彼らが停電でオンライン参加できなくなりました。
鈴木 これはどうしようもないということで、いよいよ成果発表会の中止を宣言しようとしたその瞬間に、いきなりパッと電気がついて、続行が可能になりました。あの劇的なタイミングには驚きました。
若梅 そうでした。とても記憶に残る成果発表会でしたね。
RiSINGで人脈が大きく広がる
コミュニティの効用とは
i Mag 皆さんにとって、RiSINGに参加したことによる成果は何でしたか。
鈴木 私はIBM iのコミュニティを強く感じられて、人脈が一気に広がったことが最大の成果でした。天城ホームステッドでは、私たちのチームのメンバー以外に、他のチームの方とも交流できて、その後にセミナーへ参加しても、声をかけていただけるようになりました。セミナーと言えば、RiSINGに参加したあとは、IBM i関連のセミナーに参加する機会が多くなりましたね。自動的に情報が届くようになったというより、自分自身のアンテナが立ったというか、積極的に調べて、役立ちそうなら参加するという行動が定着したように思います。
須藤 以前にセミナーに参加したり、常駐先の担当者といっしょに訪問して名刺交換したりと、IBM i関連の情報収集の経験はありました。でも名刺交換したらそれで終わりで、なかなか関係が継続しないのです。でもRiSINGの場合は、「IBM iを使っている」という1点のみで関係を作れるし、それを維持できる点がすごくよかったです。
鈴木 私たちのチームは雰囲気もよかったし、とくに良好な関係を作れましたよね。その後も半年に1回は情報交換会という名の飲み会を開催しようと決めて、忠実にそれを実行しています(笑)。
須藤 それと、私はお客様先への常駐が多かったので、あまり後輩をもった経験がありませんでした。でもRiSINGのFチームでは、年次的には一番上で、環境構築のスキルも一応あったので、困っているメンバーには積極的に声をかけてスキルやノウハウを伝えました。それが自分の経験としては、とてもよかったと思います。
鈴木 確かに須藤さんには、ペースメーカー的な役割を担っていただきました。困ったことがあれば、とりあえず須藤さんに聞いてみようという雰囲気がありました(笑)。
若梅 ほかの2人と同じように、私もRiSINGはコミュニティへの参加、人脈づくりという面での成果を感じています。とくに日本IBMの方たちと、リアルな交流の場をもてたのは大きな財産です。私はこの世界に入ってまだ2年目なので、日本IBMの人たちとの面識がほとんどありませんでした。画面の向こう側で、誰かがIBM iのことを話している、というような印象しかもっていませんでした。でもRiSINGの場で実際にお目にかかって、得意とされる分野も理解して、いっしょに写真も撮って、などなど人脈が広がっている実感がもてました。

鈴木 2年目も継続する方は珍しくないようですよ。私や須藤さんは参加しなかったですが、若梅さんは今年も参加されているでしょう。
若梅 そうなんです、今年もRiSINGに参加しています。今年のテーマの決め方は昨年と違って、事前アンケートを元に選ばれた8つくらいのテーマから、自分の興味のあるテーマを選んで参加するという方法でした。生成AIについては希望者が多くで、AIだけで3チームほどできたようです。私はPower Virtual Server(以下、PowerVS)に関する環境構築というテーマを選びました。当社の主力ソリューションがPowerVSに対応するため、仮想シリアル番号など、それに関する知識やスキルを得るのが目標です。参加してみると、昨年とは雰囲気がかなり違って驚いていますが、PowerVSについてはいろいろな知識を得られて充実しています。
最初の会社の上司が、「IT系は常に変化しているので、自分でアンテナを立てて変化をキャッチしていくことが重要だ」と言っていたのを、最近よく思い出します。
鈴木 よい言葉ですね。確かにアンテナを立てるための努力や方法を、RiSINGの場で学んだように思いますね。
撮影:広路 和夫
[i Magazine 2026 Summer掲載]







