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04 Code for IBM i ~AIと連携したIBM i開発 |新・IBM i入門ガイド[コード生成AI編] 基本ツール

前項[03]では、VS Codeはそれ単体では汎用的なテキストエディタに過ぎないことを紹介した。そのVS Codeを、IBM i開発、特にRPGやCOBOLといった伝統的な言語のための強力な統合開発環境(IDE)へと変貌させるのが、Code for IBM iである。

Code for IBM iは、IBM i開発者コミュニティによって開発が進められているオープンソースのVS Code拡張機能である。この拡張機能なくしてモダンなIBM i開発は始まらないと言っても過言ではなく、AIと連携した次世代の開発スタイルを実現するための基盤となる。

Code for IBM iの主要機能

Code for IBM iは、開発者が慣れ親しんだPDMやSEUの操作手順を、VS Codeのモダンなインターフェース上で再現し、さらにそれを超える以下のような機能を提供する。

IBM iへの接続とブラウジング 

◎SSHプロトコルを通じて、安全にIBM iへ接続

◎PDMのようにソース物理ファイル内のメンバーを一覧で表示
 ・フィルタリング機能で目的のメンバーを絞り込む機能も提供
 ・ライブラリー内のオブジェクト一覧も表示し、その詳細を確認可能

◎統合ファイルシステム(IFS)のディレクトリやファイルを直接操作可能

ソースコードの編集とコンパイル

◎RPG、COBOL、CL、DDSなど、IBM i固有の言語を認識

◎シンタックスハイライト(構文の色分け)やアウトライン表示、基本的なコード補完を提供

◎編集中のソースメンバーを、VS Codeのコンテキストメニュー(右クリック)から直接コンパイル可能
 ・コンパイルエラーが発生した場合は、VS Codeの「問題」パネルにエラー個所と内容が表示
 ・クリック1つでソースコードの該当行にジャンプ

コマンド実行 

◎ターミナルからSSHでIBM iに接続することにより、CLコマンドを実行可能

使い方は2パターン 

Code for IBM iの使い方は大きく分けて2つある。既存のSEU/PDM環境に寄り添った使い方と、一般的なVS Codeの使い方の2つである。違いはソースコードがIBM iにあるのか、それとも作業PCのローカルにあるのか、である。

ソースコードがIBM iにある場合

Code for IBM iをすぐに使いたい場合は、IBM iのソースファイルにあるソースメンバーを直接操作する方法がよい。Code for IBM iでIBM iとSSH接続したあと、指定したソースファイルのメンバーを一覧で表示し、編集するメンバーをクリックしてエディタでコードの追加および編集を行って保存する。保存先はもちろんソースファイルのメンバーである(図表1)。

図表1  5250画面ではアクセスできない

直接ソースメンバーを操作するので、作業中は常にIBM iに接続されている必要があるが、コンパイルは今までどおりPDMを介して行うことも可能なので、まずVS Codeの使い勝手を確認する目的としては手軽に始めやすい。

ただこの使い方では、同時に複数ユーザーが同じソースメンバーの編集ができないようにメンバーをロックする機能が働かないことに注意してほしい。

ロックがあれば、常に最後に保存された内容を引き継いで次のユーザーが編集できるが、ロックがなければ他のユーザーの編集を完全に上書きするケースも考えられるので、それを想定した工夫(自分専用のソースファイルにて作業するなど)を心がけてほしい。

ソースコードがローカルにある場合

VS Codeは、ローカルにあるテキストファイルの編集を前提にさまざまな拡張機能が作成されたエディタである。IBM iの開発環境でもその拡張機能を利用するためには、ソースコードがローカルに存在している必要がある。

Code for IBM iは、ローカルにあるソースコードをIBM iでコンパイルする際に、自動的にIBM iのあらかじめ設定されたIFSディレクトリにプッシュしてコンパイルする機能を提供している(図表2)。

図表2  ソースコードがローカルにある場合

またAI開発では、AIがソースコードを編集することもあり、どこを修正したのかなどをきちんと管理しておかないと、コードに対する責任を誰も取れなくなるのでバージョン管理が必須となる(詳細は後述)。

いずれにしても、本格的にAI開発を実施するには、ローカルにソースコードがあることが必須である点に留意してほしい。

AIとIBM iを連携させるための
「橋渡し」としての役割 

Code for IBM iの最も重要な役割は、AI開発支援ツールとIBM iの橋渡しとなることだ。VS Codeに組み込まれたAI機能が、指定したソースコードや選択されたコードの部分などをコンテキストとしてVS Codeから受け取り、それを基に最適なコードを生成する。

AIは生成したコードをCode for IBM iのエディタに展開し、それを受けて開発者がCode for IBM iの機能を使ってソースコードのプッシュおよびコンパイルという動作を行う。

この「AIによる生成→人間によるレビュー→Code for IBM iによるプッシュとコンパイル」というシームレスなサイクルこそが、AI時代のIBM i開発の新たな姿である。

Code for IBM iは、IBM iの伝統的な開発資産と、AIを中心としたモダンな開発手法とを繋ぐ、不可欠な存在である。

Code for IBM iについては、特集「Code for IBM i:その全貌 ~IBM i開発をオープンへと進展させるオープンソースの開発環境」も参照してほしい。

著者|
小川 誠

ティアンドトラスト株式会社
代表取締役社長 CIO  CTO

1989年、エス・イー・ラボ入社。その後、1993年にティアンドトラストに入社。システム/38 から IBM i まで、さまざまな開発プロジェクトに参加。またAS/400 、IBM i の機能拡張に伴い、他プラットフォームとの連携機能開発も手掛ける。IBM i 関連の多彩な教育コンテンツの作成や研修、セミナーなども担当。2021年6月から現職。

新・IBM i入門ガイド [コード生成編]

<基本用語>

01 生成AI&IBM i市場動向
02 生成AI
03 大規模言語モデルとマルチモーダルモデル
04 プロンプトとコンテキスト
05 AIエージェント
06    ハルシネ―ションとセキュリティ
07    ファインチューニングとRAG
08 APIとMCP

<基本ツール>

01 コード生成AIの思考プロセスと主要ツール
02 IBM i開発環境構築ロードマップ
03 Visual Studio Code
04 Code for IBM i
05 Git
06 Markdown

<開発ツール>

01 AIファースト開発環境
02 IBM Bob
03 対話型・CLI型AIツールの戦略的活用術
04 学びを止めないための次の一歩 リンク集

[i Magazine 2026 Spring掲載]

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