IBM Bobの活用で
必須になる拡張機能
Bobを使うということは、システム開発のアプローチが変わるということだ。エディタはSEUからVSCodeライクなものに、仕様書の作成は生成AIが主体に、コードの解析やリファクタリングもAIが担うようになる。しかし、最終成果物がIBM iで稼働するシステムであることに変わりはない。
変わるのは「誰が作るか」であって、「何を作るか」を決め、的確に指示するのは依然として我々開発者だ。そして今後はBobも開発の担い手の一員となる。Bobに最高の結果を出してもらうためにも、適切な指示の出し方を身につけることが重要になる。
Bob単体では、IBM iのシステム開発に必要な機能をすべてカバーできないため、以下の拡張機能の利用は必須であることも覚えていてほしい。
・Code for IBM i
・Db2 for IBM i
・IBM i Project Explorer
・Source Orbit
そして何と言っても、gitはBobのようなAI開発ツールを使うからこそ、その重要度がむしろ増すことを認識しておきたい。AIがコードを変更するようになったからこそ、「何が・いつ・なぜ変わったのか」を追跡できる仕組みが不可欠になる。Bobがファイルを変更する前後でコミットしておけば、「やり直したい」「元に戻したい」が即座にできる。AIを使うならgitは必須と考えてほしい。
IBM iユーザーが
gitを使うためのハードル
QSYS.LIB上のソースメンバーは、そのままではgit管理ができない。IFS上に移行するか、ローカルPCにダウンロードするかのどちらかが必要となる。「Bobを使いこなすためにも、gitを使いこなすためにも、ソースのローカル管理への移行が最初のハードルになる」という現実は正直に伝えたい。
gitへの移行コストを今負担してでもすぐにAI開発の恩恵を受けるようになることと、10年後も同じ環境で作業し続けることを比べたとき、どちらが自分たちの現場にとっていい選択か。本稿がそう問い直すきっかけになれば幸いだ。
Bobを「パートナー」とするために
不可欠なステップ
ここまで読んでくれた読者に、最後に1つお伝えしたいことがある。
Bobを使い始めるのは難しくない。インストールして、Askモードで古いソースに「このプログラムは何をしているのか教えて」と話しかけるだけでいい。最初の一歩はそれだけで十分だ。
ただし、Bobを「使いこなす」には設計が必要である。AGENTS.mdを育て、モードを使い分け、コンテキストを絞り、gitと組み合わせて使う。この設計を積み重ねるほど、Bobはチームにとって本当の意味で「パートナー」になっていく。
まず1 人で試してみてほしい。そしてその体験を、チームの誰かに話してみてほしい。それが企業でBobの利用を広げるための、最も大切なステップだと思う。
なお、本稿の内容は2026年5月執筆時点のものである。機能・制限・料金体系は短期間で変わり得る。読者の皆さんが本誌を手にするころには、すでに状況が変わっている部分もあるかもしれない。本稿を出発点にしながら、公式ドキュメントや最新情報にその都度あたってほしい。
著者|
小川 誠 氏
ティアンドトラスト株式会社
代表取締役社長 CIO CTO
1989年、エス・イー・ラボ入社。その後、1993年にティアンドトラストに入社。システム/38 から IBM i まで、さまざまな開発プロジェクトに参加。またAS/400 、IBM i の機能拡張に伴い、他プラットフォームとの連携機能開発も手掛ける。IBM i 関連の多彩な教育コンテンツの作成や研修、セミナーなども担当。2021年6月から現職。
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Part3 IBM Bobを活用するためのステップ ~事前知識・設定・基本操作
❶IBM Bobを使うために知っておくべきこと
❷使い始める前に知っておくべきこと
❸現場での活用と注意点
❹AI時代における開発プロセスの変化
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[i Magazine 2026 Summer掲載]







