IBM i 開発ツールエンジニアの雑記帳|SP4iの次期バージョンに搭載予定の新機能「COBOS4i」(尾崎 浩司)

皆様、こんにちは。株式会社ミガロ.の尾崎です。今回は、SP4iについてお話したいと思います。

SP4iは、IBM iをお使いの皆様が使用するRPG/COBOLのスキルをそのまま活用して、Webアプリおよびモバイルアプリを開発する製品です。SP4iは、WebアプリケーションサーバーとIBM iを連携するためのRPG/COBOLプログラムを簡単な手順で自動作成でき、そこにビジネスロジックを追加するだけでアプリを作成できます。

実際のアプリ開発手順は、図表1のような4つのステップで実施します。

図表1 SP4iの開発手順

このSP4iですが、まもなくバージョンアップを予定しており、次期バージョンでは新機能「COBOS4i(コボス・フォー・アイ)」が搭載される予定です。

今回はこの「COBOS4i」の搭載により、SP4iがどのように進化していくかについて、ご紹介します(今回ご紹介する内容は2021年4月現在での予定であり、予告なく仕様等が変更される可能性がある点についてはご了承願います)。

COBOS4iの概要 

COBOS4iは簡単に言えば、Eclipseのプラグインです。Eclipseとは、主にJavaアプリの開発で多用されるオープンソースの統合開発環境です。

Eclipseでは、プラグインという機能拡張モジュールを開発環境に組み込めます。つまりEclipse上にCOBOS4iを組み込むことで、SP4iアプリの開発でも統合開発環境を使用できるようになります。

前述のとおり、SP4iは4つのステップでアプリを作成するのですが、現行バージョンのSP4iでは、それぞれ異なる専用ツールを使用する必要がありました。

ステップ1の「画面の作成」ではHTMLを作成するので、ホームページビルダーのようなHTMLエディタを使用するのが一般的です。

ステップ2の「画面の連携とプログラムの自動生成」はSP4iの独自機能なので、専用のSP4i Designerを使用して定義します。

ステップ3の「プログラムロジックの追加とコンパイル」は、RPG/COBOLによる開発工程なので、PC5250上でSEUを使用します。プログラムのコーディングを完了し、従来どおりにソースをコンパイルすれば、アプリのオブジェクトが完成します。

最後のステップ4の「メニュー登録と実行」では、PC5250上で実行できる専用のSP4iメニュー機能を使用して作成したアプリを登録します。

ブラウザを立ち上げてSP4iメニューにログインすると、完成したアプリは登録されたメニュー一覧に表示されるので、そこから登録したアプリのリンクをクリックすれば、実行できます。

このように、これまでステップごとに異なるツールを使用する必要がありましたが、これら一連の作業がCOBOS4iを使用すると、すべてEclipse上で実行できるようになるわけです(図表2)。

図表2  COBOS4iはEclipse上で開発作業を統合化

ここで実際のCOBOS4iの開発画面をご紹介します。図表3は、COBOS4iプラグインを組み込んだEclipse開発環境を起動した直後の画面です。

図表3  COBOS4iプラグインを組み込んだEclipse開発環境

HTMLやRPGソースといったアプリ開発に必要な情報は、画面左側にある「COBOS4iエクスプローラーウィンドウ」に一覧表示されます。ここから編集したいファイルを選択すれば、HTMLの編集やSP4i Designerによる項目の定義、RPGによるロジック追加が行えます。

画面の右側にある「COBOS4iコマンドウィンドウ」では、Designerで定義後に配布したRPGソースファイルをIBM iからローカルのEclipse上にダウンロードする操作や、ローカルPC上で編集したRPGソースを使用してコンパイルするといった操作など、COBOS4iで開発する際に必要なコマンドがまとめられています。

COBOS4iを使用したSP4iの各開発ステップの画面イメージは図表4のとおりです。すべての作業が、Eclipse上で実行できる様子がおわかりかと思います。

図表4  COBOS4iを使用したSP4iの各開発ステップ

COBOS4iを使用するメリット 

このようにCOBOS4iは、SP4iの開発生産性を向上させる新機能なのですが、統合開発環境Eclipse上でSP4iの開発を行うメリットをご紹介します。

1つ目はCOBOS4i環境を使用すると、RPGソース開発をPCライクなエディタにより開発できることです。SEUとは違い、コピー&ペースト等も簡単に行えますし、広いモニタを使用すれば、一度にたくさんのソースコードを確認・編集できます。

またPC上でソースを編集できるメリットはほかにもあります。たとえばオープン系言語であるJava等で多用されるソース管理ツールGitをRPGソースでも活用できるようになります。

先ほどEclipseはプラグインで機能拡張できることをお話しましたが、Gitのクライアント機能もEGitというプラグインで導入できます。これを使用すれば、RPGプログラムのソース管理がEclipse上で実行できるのです。これにより、RPGソースの変更履歴管理などが行えます。

2つ目のメリットですが、これまでのSP4iでは作成したプログラムを実行する場合、その都度「WebSphere Application Server」(以下、WAS)が導入されたWebサーバー上にデプロイする必要がありました。

しかしCOBOS4iプラグインには、開発者のPC上で直接動作するスタンドアロンのWebアプリケーションサーバー機能が搭載されているので、作成したプログラムはEclipse上でそのまま直接実行できます。

3つ目のメリットは、COBOS4iにはEclipse上で実行できるIBM iエミュレータ機能も搭載されていることです。これを使用すれば、たとえばテストデータを修正するためのDFUの使用や、QUERYでデータを確認するといった作業もEclipse上で実行できます。開発者のクライアントPCにエミュレータソフトがない場合でも、効率よく開発作業を行えます(図表5)。

図表5  COBOS4iのエミュレータ機能

ここまでEclipseのプラグインであるCOBOS4iを使用するメリットをお話しました。SP4iの次期バージョンではほかにも、Webサーバーで使用するWebアプリケーションサーバーの対応強化などがあります。

従来SP4iで作成したプログラムの稼働にはWASが必要だったのですが、新バージョンではWASに加え、Apache+TomcatといったオープンソースベースのWebアプリケーションサーバーもサポートします。

これにより、とくにWindowsサーバー環境でWebサーバーを構築する場合、これまでWASを別途IBMから購入する必要がなくなり、コストを抑えたWebサーバー環境の構築が可能になります。

まとめ 

今回は、SP4i次期バージョンで搭載予定の「COBOS4i」についてご紹介しました。SP4iの開発効率がこれまでより飛躍的に向上するので、SP4iをご利用の皆様はぜひご期待ください。

COBOS4iにより、オープンソースで広く使われているEclipseのいろいろなプラグインも活用できるようになります。まだまだ私も不勉強なのでこれからですが、COBOS4iとの組み合わせでメリットのあるプラグインがあれば、別途このコラムでご紹介したいと思います。

次回も、弊社開発ツールにおける技術トピックをご紹介したいと思います。お楽しみに!

 


IBM i 開発ツールエンジニアの雑記帳

第1回 3つのツールの使い分けのポイント(1)

第2回 3つのツールの使い分けのポイント(2)

第3回 Valence6.0 最新版進化のポイント

第4回 Delphi/400 クラウドサービス連携機能「Enterprise Connectors」について

 

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