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02 IBM i開発環境構築ロードマップ ~4つのステップで、生成AI対応の開発環境を構築 |新・IBM i入門ガイド[コード生成AI編] 基本ツール

開発環境を構築生成AIという強力なエンジンを手に入れても、それを走らせるための「道」が整備されていなければ、宝の持ち腐れとなってしまう。

IBM iの開発現場でAIの能力を真に引き出すには、長年慣れ親しんだSEU(原始プログラム入力ユーティリティ)やPDM(プログラム開発管理機能)といった伝統的な開発スタイルから、AIツールと親和性の高いモダンな開発環境へと移行することが不可欠である。

ここでは、なぜ今、開発環境の近代化が必要なのかを解説するとともに、IBM i開発者が今日から着手できる、AI活用を見据えた開発環境構築のための具体的なロードマップを提示する。

なぜモダンな開発環境への移行が必要なのか?

筆者は、2021年に「IBM iの開発環境を見直そう」という特集記事を i Magazineに寄稿した。そのPart2「PDM と SEU|IBM iの開発に欠かせない2つのツールがもつ強みと考慮点」で、SEU/PDMのメリットとデメリットを詳しく解説している。

「長年使ってきたSEUで何が問題なのか?」を考える人が多くいることはもちろん承知しているが、以下の弊害があることはあらためて認識しておきたい。

・5250の制約された画面サイズでしか利用できない(視認性が悪い)
・すでに機能拡張が行われていない古いツールである
・ソースの変更履歴を管理する機能を利用することが困難

さらに、生成AIとの共同作業を前提とするならば、PDM/SEU環境ではもはや不可能である。IBM i独自のツールではなく、IT業界で標準のツールに移行することは、もはや必須かつ1日も早く取り組むべき課題であると認識してほしい(図表1)。

図表1 5250画面ではアクセスできない

AIツールとの親和性

前項[01]で紹介したGit Hub CopilotやGemini Code Assistをはじめとする主要なAI開発支援ツールは、そのほとんどがVisual Studio Code (以下、VS Code)のようなオープンソースのテキストエディタの拡張機能として提供されている。これらの恩恵を享受するには、VS Codeベースの開発環境がほぼ必須となる。

ソースコードの一元管理と可視化 

AIによるコード生成やリファクタリングを導入すると、コードの変更頻度は格段に上がる。バージョン管理システムであるGitを導入し、誰が・いつ・なぜコードを変更したのかという履歴を正確に追跡し、問題が発生した際には容易に以前の状態に戻せる状態を1日も早く確立する必要がある。GitはAIとの安全な共同作業を行ううえで生命線なのだ。

AI開発におけるバージョン管理の重要性は、[05 Git]の項で詳しく解説する。

オープンな開発エコシステムへの接続

モダンな開発環境は、世界中の開発者が利用するオープンソースのツールやライブラリーと容易に連携できる。これにより、IBM i開発の可能性は大きく広がる。

4つのステップで進める開発環境構築ロードマップ 

この移行は決して簡単に実現できるものではない。これから始めるという人は、以下のステップを参考に進めてほしい。参考になる拙著についてもあわせて記載する。

ステップ 1:ローカル開発環境の近代化 

まずは、開発するツールを5250画面からPC上のローカル環境へと移すことから始める

・VS Codeをインストール
・Code for IBM iをインストール

VS CodeからSSHでIBM iに接続し、SEUを使わずにソースメンバーの表示・編集・コンパイルができる状態をまず実現する。その後、ソースコードをローカルに保管し、修正はPCで行い、コンパイルの際にIBM iに「プッシュ」するという流れを作成する。

ステップ 2:ソースコード管理の導入 

次に、作成したソースコードを「資産」として管理するための仕組みを導入する

・Gitをインストール

ローカルにあるソースコードを、Gitを使ってローカルのリポジトリにコミットする習慣を身につける。Gitについては[05]で解説する。

ステップ 3:AIツールの統合

近代化された開発環境にAIアシスタントを導入する。

・GitHub CopilotやGemini Code Assistなどの拡張機能をVS Codeにインストール

コメントからのコード生成、既存コードの解説、リファクタリング提案など、AIの支援を受けながら開発を進めるスタイルを体験し、生産性向上を実感する。

ステップ 4:専用ツールの利用

ステップ 3まではVS Codeがベースだったが、より高度にAI機能を統合させたツールを導入する。

・IBM Bob
・Google Antigravity
・Cursor

これらのツールはどれもVS Codeをベースに開発されたもので、基本的な使い勝手は変わらない。IBM iの開発としてはIBM Bobがベストな選択だが、現在のシステムはIBM iのみで完結しているわけではないので、複数のツールを併用することも視野に入れておきたい。

著者|
小川 誠

ティアンドトラスト株式会社
代表取締役社長 CIO  CTO

1989年、エス・イー・ラボ入社。その後、1993年にティアンドトラストに入社。システム/38 から IBM i まで、さまざまな開発プロジェクトに参加。またAS/400 、IBM i の機能拡張に伴い、他プラットフォームとの連携機能開発も手掛ける。IBM i 関連の多彩な教育コンテンツの作成や研修、セミナーなども担当。2021年6月から現職。

新・IBM i入門ガイド [コード生成編]

<基本用語>

01 生成AI&IBM i市場動向
02 生成AI
03 大規模言語モデルとマルチモーダルモデル
04 プロンプトとコンテキスト
05 AIエージェント
06    ハルシネ―ションとセキュリティ
07    ファインチューニングとRAG
08 APIとMCP

<基本ツール>

01 コード生成AIの思考プロセスと主要ツール
02 IBM i開発環境構築ロードマップ
03 Visual Studio Code
04 Code for IBM i
05 Git
06 Markdown

<開発ツール>

01 AIファースト開発環境
02 IBM Bob
03 対話型・CLI型AIツールの戦略的活用術
04 学びを止めないための次の一歩 リンク集

[i Magazine 2026 Spring掲載]

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